長きにわたってフランスに安い電気料金を提供してきた原子力発電。これに対して特に不満を感じているというフランス国民は少ない。フランス人は、先進国の中でCO2排出の少ない国の1つであることに大きな誇りを感じている。事実フランスでは93.8%の発電が原子力・水力発電・そして再生可能エネルギーによって賄われており、これが低炭素国家を実現している。このような状況下ではあえてさらに料金を払ってまで再生可能エネルギーに切り替えようという人は少数派にとどまっている。
とはいうものの、実際には多くの電力小売り会社が再生可能エネルギーを電気料金プランの1つとして消費者に提供している。これはどういうわけかというと、フランスでは再生可能エネルギー証明というシステムがあり、その証明を購入することで再生可能エネルギー電気料金プランを販売することができるからだ。しかもかなり安くその証明の購入ができるのである。値段は平均するMWhあたり2ユーロ。仕組みは以下のような流れだ。
果たして、このような電気料金プランの存在がどれだけ再生可能エネルギーの促進に役立っているのかは疑問である。先述したCSPE制度のもと、Feed-in-tariffsとして各消費者が支払っている税金による効果がほとんどだといえる。証明書の存在による効果はほとんどないだろう。再生可能エネルギーを増やしたいと考えた場合、フランスでは再生可能エネルギー電気を選んでもその効果は薄いということだ。
フランスでは「まじめに」電気料金の比較サービスを提供しているサイトは数社に限られている。Selectra(セレクトラ社)が私企業としては最大手である一方、消費者団体のような公共団体も同じように電気料金サイトを提供している。このようなWebサイトは電気小売り会社のウェブサイトをいちいち全部見ることなく電気料金やサービスを把握するのに非常に重宝されている。
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