日産自動車(以下、日産)は2016年8月4日、バイオエタノールから発電した電気で走行する新型燃料電池車の試作車をブラジルで初公開した。固体酸化物型燃料電池(SOFC)を発電装置とするシステムを搭載している。SOFCを自動車の動力源として車両に搭載するのは世界初になるという(図1)。
試作車は電気自動車の多目的商用バン「日産e-NV200」に、日産の新型燃料電池車システム「e-Bio Fuel-Cell(イーバイオ フューエルセル)」を搭載した。100%エタノールを燃料とし、SOFCで発電した電力を24kWh(キロワット時)のバッテリーに蓄電する。600km(キロメートル)以上の航続距離を実現するとしている。
日産が2016年6月に発表した燃料電池車システムe-Bio Fuel-Cell(は、サトウキビやコーンなど植物由来のバイオエタノールを燃料として使える点が大きな特徴となっている。バイオエタノールから水素を生成し、この水素とSOFCで発電する仕組みだ(図2)。
植物由来のバイオ燃料を使うことで大気中へのCO2排出を実質ゼロにできる「カーボン・ニュートラル」を実現し、さらに停車時からの走り出しの良さやきびきびした走りなど、「走り」の面でも、通常の電気自動車と同等の性能を持つとしている。
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