地産地消を掲げる「湘南のでんき」、約5割を神奈川県の再生可能エネルギーで電気料金の新プラン検証シリーズ(36)(1/3 ページ)

エナリスとサッカーJ1所属の湘南ベルマーレが設立した湘南電力が、2016年10月1日から家庭向けの電力供給を開始する。湘南電力は神奈川県内の「エネルギーの地産地消」を事業テーマに掲げており、電源構成の約5割を県内の再生可能エネルギーとする。さらに収益の1%を地域事業に還元し、その使い道をユーザー側で選べるようにするなど、独自の地産地消モデルを構築した。

» 2016年08月09日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ」

 神奈川県で電力事業を展開する湘南電力は2016年8月8日、同年10月1日から低圧向けの電力供給サービス「湘南のでんき」の提供を開始すると発表した。提供エリアは神奈川県内とし、同年9月1日から同社のWebサイトなどで申し込みを受け付ける。

 湘南電力はエナリスと神奈川県湘南エリアに本拠を置くサッカーJ1リーグ所属の湘南ベルマーレの共同出資で2014年9月に設立された電力事業会社だ(図1)。事業のテーマに「エネルギーの地産地消」を掲げ、収益の一部を地域貢献事業として還元するなど、地域密着型のエネルギー事業を展開している。

図1 湘南電力の概要(クリックで拡大) 出典:湘南電力

 同社は小売全面自由化に先駆け、2015年6月から高圧向けの電力供給を開始した。神奈川県から補助を受け、県内の太陽光発電所などから調達した電力を従来より安い価格で高圧需要家に提供している。今回発表した家庭や小規模な店舗向けに提供する湘南のでんきも、エネルギーの地産地消を大きく打ち出したサービスとなっている。

料金単価は東京電力より最大5%安く

 一般家庭向けの料金プランとして用意するのが「湘南のでんき電灯B」だ。これは東京電力ホールディングス(以下、東京電力)の従来電灯Bに相当する。料金は東京電力の従来電灯Bと同じく、契約容量に応じた基本料金と3段階の電力量料金で構成している。基本料金は従来電灯Bと同じだが、120kWh(キロワット時)までの電力量料金単価を1%安い19.32円、121〜300kWhを3%い25.22円、300kWh超過を5%安い28.51円に単価に設定した(図2)。

図2 「湘南のでんき電灯B」で40A契約の場合の電気料金の目安 出典:湘南電力

 この他に電気使用量の多い家庭や商店向けのプランである「湘南のでんき電灯C」、商店や工場など動力を使用するユーザー向けの「湘南のでんき動力」も用意する。どちらも湘南のでんき電灯Bと同様に、東京電力の従来プランより数%安い単価設定になっている。

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