IEAがまとめた2015年の世界全体のエネルギー投資額は前年から8%減の1.8兆ドルだった。石油・ガスの開発投資が25%も減少する一方で、再生可能エネルギーと省エネルギーに加えて電力ネットワークに対する投資額が増加した。CO2削減に向けてエネルギーシフトが全世界で加速していく。
先進29カ国で構成するIEA(国際エネルギー機関)が世界のエネルギー投資動向を「World Energy Investment 2016」にまとめて9月14日に発表した。このレポートで2015年の総投資額が1.8兆ドル(約180兆円)にとどまり、前年から8%も減少したことが明らかになった。
投資額の内訳を見ると、全体の50%を石油・ガス・石炭が占めるものの、火力発電と合わせて前年から6ポイント低下した(図1)。代わって再生可能エネルギーが1ポイント増の17%、電力ネットワークが2%増の14%、省エネルギーに対する投資額も2ポイント増の12%へ伸びている。世界のエネルギー産業がCO2(二酸化炭素)の削減に向けて、構造変革(エネルギーシフト)を進めていることを示す結果だ。
再生可能エネルギーの発電設備に対する投資額は2900億ドル(約29兆円)で、2011年から2015年にかけて横ばいの状態が続いている(図2)。2015年の投資額のうち風力と太陽光が3分の1ずつを占めた。IEAによると洋上風力の投資額が伸びている。
発電設備に対する投資額は横ばいながら、投資がもたらす再生可能エネルギーの発電量は格段に増えている。2011年と比べて2015年に投資した発電設備の発電量は33%も拡大する。太陽光をはじめ発電設備のコストが低下して、同じ投資額でも発電能力の大きい設備を建設できるようになったためだ。この傾向は今後も続いていく。
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