小売全面自由化に伴って電力の需給調整の仕組みも大きく変わった。電力会社に代わって広域機関が各事業者から計画を集約して調整する。小売電気事業者は年間・月間・週間・翌日・当日の需要計画や調達計画を広域機関に提出する必要がある。計画の策定・提出にはシステムの整備が欠かせない。
連載第18回:「卸市場を活用した電力取引で需給調整、前日と当日で取引の仕組みが違う」
小売電気事業者は広域機関(電力広域的運営推進機関)に対して、需要計画などを提出する義務がある(図1)。対象になる計画には以下に列挙するものがあり、広域機関のシステムの計画受付機能を利用して提出する。
○需要計画・調達計画・販売計画
−年間計画・月間計画・週間計画・翌日計画(30分ごとの計画値)
−当日計画(30分ごとの計画値)
○連系線利用計画
−長期計画(10年間の計画値)
−年間計画・月間計画・週間計画・翌日計画(30分ごとの計画値)
−当日計画(30分ごとの計画値)
○供給計画
以上の中で供給計画は10 年間の需要見通しと電力の供給計画を作成するものであり、毎年度に作成して国に届け出る義務がある。上記の各種計画を広域機関のシステムを使って提出する方法には以下の4種類がある(図2)。
−Web直接入力(各計画、作業停止計画)
−ファイルアップロード(供給計画を含む各種計画、作業停止計画)
−JX手順(システム自動連携:各種計画)※データアプリケーション社のソフト利用
−WebAPI(計画値同時同量)
需給管理のシステムを導入する場合には、広域機関のシステムと自動的に連携するケースが多い。BG(バランシンググループ)に入る場合は代表契約者が計画を作成することになる。ただし内訳として小売電気事業者ごとの数値も提示する必要がある。
次回以降は顧客管理・需給管理などを支えるシステムの現状や、システムを提供するIT(情報技術)ベンダーの動向について見ていく。
連載第20回:「電力顧客管理システムの選び方、自社導入か共同利用か」
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