中部で予備率3%を切る予測も、今冬は全国10地域すべて節電要請なしエネルギー管理(2/2 ページ)

» 2016年10月20日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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再エネの供給力が想定の2倍以上に

 今年は夏の電力供給も安定していた。全国10地域で最大需要を記録した日の状況を見ると、関西で予備率が8.7%になったほかは軒並み10%を上回った(図4)。東京や中部では最高気温が37℃台まで上昇したにもかかわらずだ。政府は今夏に震災後で初めて節電要請を出さなかった。もはや節電要請は夏も冬も必要ない状況になっている。

図4 2016年度の夏の最大需要日の実績(画像をクリックすると4月時点の見通しも表示)。出典:電力広域的運営推進機関

 震災前の2010年度と比較して、震災後の需要は大幅に縮小した。全国10地域の最大需要を震災前後で比べると、各地域ともに最大需要が5%以上も減っている。この最大需要の差を節電量とみなすと、東京では震災後に800万kW前後の需要が節電効果で減少した(図5)。最大需要の15%以上に相当する。

図5 節電目標と節電実績の推移。出典:電力広域的運営推進機関

 関西では年度を追うごとに節電量が拡大している。2016年度の節電量は482万kWに増大して、最大需要の20%以上に相当する規模になった。全国でも電気料金の水準が高い関西では、企業と家庭で節電対策が継続的に進展していると考えられる。

 その一方で再生可能エネルギーによる電力の供給量が着実に増えてきた。沖縄を除く9地域で最大需要が発生した日の供給力を合計すると、地熱・太陽光・風力で1割近くを占めた(図6)。政府の委員会が4月の時点で想定した保守的な見通しと比べると2倍以上の規模になっている。さらに水力を加えると供給力の17%に達する。

図6 最大需要日の供給力(画像をクリックすると実績−見通しの要因も表示)。出典:電力広域的運営推進機関

 夏の電力需要が増える日は晴天が多く、太陽光発電で供給できる電力が増える。太陽光発電は天候による出力の変動が問題視されるが、夏の電力供給に貢献する役割は大きい。太陽光を中心に再生可能エネルギーの電力が想定を上回ったことによって、火力発電の供給力が減る。燃料費とCO2(二酸化炭素)排出量の両方を減らせるメリットがある。この効果は再生可能エネルギーの拡大に伴って今後ますます大きくなっていく。

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