CO2フリーの水素でトラックが走る、北米364カ所にステーションも展開電気自動車(1/2 ページ)

米国のベンチャー企業がCO2フリーの水素で走る燃料電池トラックを初公開した。後部にトレーラーを連結するセミトラックタイプで、大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載して1900キロメートルの走行が可能だ。太陽光発電所で作った水素を北米各地に展開するステーションに運んで供給する。

» 2016年12月07日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 米国ユタ州のソルトレイクシティーで12月1日に、燃料電池トラック「Nikola One」のプロトタイプが自動車業界やメディア関係者の前に初めて登場した。Nikola Oneは車体の内部に高出力の燃料電池と大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載して、前方と後方のモーターで6×4輪駆動で走行する仕組みだ(図1)。ベンチャー企業のNikola Motorが数年前から開発を続けてきた。

図1 「Nikola One」の外観(画像をクリックすると拡大)。出典:Nikola Motor

 Nikola Oneに搭載した燃料電池の出力は300kW(キロワット)弱で、発電した電力はリチウムイオンバッテリーに蓄電してからモーターに供給する(図2)。リチウムイオンバッテリーは3万2000個の電池セルで構成して、最大320kWh(キロワット時)の電力を貯めることができる。電気自動車メーカーのTesla Motorの最新車種に搭載するリチウムイオンバッテリーは最大100kWhで、その3倍以上の容量がある。

図2 「Nikola One」の内部構造(画像をクリックすると拡大)。1:ラジエータ、2:フロントモーター、3:電力管理装置、4:リチウムイオンバッテリー、5:冷却装置、6:燃料電池、7:水素燃料システム、8:リアモーター、9:連結装置。出典:Nikola Motor

 Nikola Oneは後部にトレーラーを連結して走るセミトラックタイプで、モーターの出力は1000馬力に達する(図3)。従来のディーゼルエンジンで走るセミトラックと比べて2倍の馬力を発揮する。燃料の水素を満タンにした状態で最長1200マイル(約1900キロメートル)の走行が可能だ。水素の充填にはタンクが空の状態から10〜15分かかる。

図3「Nikola One」の後部(画像をクリックすると拡大)。出典:Nikola Motor

 現時点でNikola Oneの出荷時期は明確に決まっていないが、2019〜2020年を見込んでいる。2017年の前半に生産地を決定して工場の建設に着手する予定だ。すでにウェブサイトで予約の受付を開始した。12月1日の時点で受注額は30億ドル(1ドル=110円換算で3300億円)近くにのぼっている。

 車両の価格はオプションによって35万〜41.5万ドル(3850万〜4565万円)になる見通しだ。6年間のリースプログラムも月額5000〜7000ドル(55万〜77万円)で用意する。リースプログラムには無制限の水素供給を含む。

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