バイオマス発電の排熱で高糖度トマトを栽培、雪国の冬の農業を低コストに自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2016年12月16日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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冬の農業を促進するバイオマス産業都市へ

図4 平川市の位置。出典:平川市経済部

 木質バイオマス発電所を運営する津軽バイオマスエナジーには平川市も出資して再生可能エネルギーの地産地消を推進している。青森県の内陸部に位置する平川市には平地・丘陵・山地が広がっていて、それぞれの地形を生かして稲作・リンゴ栽培・林業に取り組んできた(図4)。

 人口の減少が進む中で農林業を活性化するために、「平川市バイオマス産業都市構想」を2016年6月に策定して国の認定を受けている。すでに運転を開始した木質バイオマス発電事業を先行モデルに、稲わらやもみ殻、市内の集落で発生する排水の汚泥も利用して、バイオマスによる各種の事業を市内全域に展開する構想だ(図5)。荒廃した農地や廃止した学校を活用して地域を再生する狙いもある。

図5 「平川市バイオマス産業都市構想」のイメージ(画像をクリックすると拡大)。出典:平川市経済部

 2025年度までの10年間に、市内で発生する間伐材・林地残材や農業・食品廃棄物などの利用率を100%に高めることが目標だ。4つの事業化プロジェクトを通じて未利用のバイオマス資源を活用していく計画で、そのうちの1つに「農業促進(冬の農業展開)プロジェクト」がある(図6)。

図6 「農業促進(冬の農業展開)プロジェクト」の事業イメージ。出典:平川市経済部

 バイオマスやバイオガスによる発電所の生み出す電力・熱・CO2を農業用ハウスに供給して、雪国では栽培がむずかしいレタス・トマト・マンゴーを効率的に生産できるようにする。発電所に隣接して農業団地を2020年度までに整備する予定だ。先行して開始する高糖度トマトの栽培事業が第1弾になる。

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