固定価格買取制度の開始から4年以上が経過して、太陽光に加えて風力・中小水力・地熱・バイオマスを利用する発電設備も着実に増えてきた(図6)。風力発電の導入量では秋田県が圧倒的に多く、14万kWを超える発電設備が運転を開始している。
秋田県内では豊田通商と東京電力が共同で運営するユーラスエナジーグループの風力発電所が4カ所で稼働中だ。その中で最も新しいのは、日本海沿岸の由利本庄市(ゆりほんじょうし)で2015年12月に運転を開始した「ユーラス由利高原ウインドファーム」である(図7)。1基あたり3000kWの発電能力がある大型風車17基で構成する。
中小水力発電の導入量では北海道と長野県が群を抜く。すでに4万5000kW以上の水力発電設備が運転を開始した。北海道のほぼ中央に位置する夕張市(ゆうばりし)のダムの直下では、「シューパロ発電所」が2015年4月から稼働中だ(図8)。大小2基の発電機を組み合わせて、最大で2万8470kWの電力を供給できる。固定価格買取制度の対象になる3万kW未満の基準ぎりぎりの発電能力になっている。
地熱発電は九州を中心に導入プロジェクトが拡大する。導入量の第1位は大分県、第2位は熊本県で、さらに鹿児島県と長崎県もトップ5に入る。新たに稼働した地熱発電所の中に、熊本県の小国町(おぐにまち)の住民が開発に取り組んだ「わいた地熱発電所」がある(図9)。温泉の町に湧き出る130度の蒸気を利用して、2015年6月に運転を開始した。発電能力は2000kWだ。
九州ではバイオマス発電の導入も活発に進んでいる。全国でトップの宮崎県では、地域の間伐材を燃料に利用する発電設備が相次いで運転を開始した。その中でも規模が大きいのは王子製紙の日南工場で2015年4月に稼働した木質バイオマス発電設備だ(図10)。
発電能力は2万5000kWに達して、年間に1億5000万kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して4万世帯分を超える。バイオマス発電は再生可能エネルギーの中で最も安定した電力源になる。地域の資源を活用した電力の地産地消に適している。
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