神原教授と澤藤電機は、プラズマメンブレンリアクターに利用する「プラズマ発生用高電圧電源」を開発し、これらを組み合わせた水素製造装置を試作した。この装置を利用してアンモニアを原料に水素製造を行ったところ、純度99.999%の水素を取り出すことに成功した。さらにこの水素を利用し、実際の燃料電池で発電が行えることも確認した。
試作機は容量70l(リットル)の液化アンモニアタンクと50lの水素製造装置で構成されている。装置を起動してから、水素製造が始まるまでの時間は数分程度。電気的に作動するため、水素発生量を制御しやすいというメリットもあるという。
開発した水素製造装置の適用可能分野として見込んでいるのが、工事現場やイベントなどで使われる屋外用の小型発電機だ。現在用いられているディーゼル発電機は燃料に軽油やA重油を用いており、CO2や窒素酸化物、粒子状物質などを排出する。屋内では利用しにくい。燃料をアンモニアに置き換えられれば、環境負荷の軽減だけでなくコストメリットも見込める。
水素ステーションや燃料電池車への導入も期待できるという。「プラズマメンブレンリアクターを用いた水素製造装置は、燃料電池車に搭載されている120lの高圧水素タンクに置き換えられる大きさだ。将来は水素ステーションや高圧タンクが不要になり、アンモニアを供給すれば走行できる燃料電池自動車を実現できる可能性がある」(岐阜大学)
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