H2Oneを導入した狙いはBCP(事業継続計画)対策だ。武蔵溝ノ口駅は災害時に一時滞在場所としての利用が想定されている。H2Oneは地震などの災害時にライフラインが寸断された場合においても、系統電源に頼ることなく必要なエネルギーを自給自足できる。
稼働イメージは以下の通りだ。駅の屋上に設置した太陽光発電から供給される電力で水素を製造し、水素タンクに貯蔵しておく。災害時には水素タンクの水素を使用して燃料電池で発電し、駅舎に供給して利用するという仕組みだ。太陽光発電の電力を一時的に貯めておく蓄電量や水素の製造量、発電量などはEMSで最適に制御される。
非常時には駅のコンコースやトイレなど駅構内の照明用に電力を供給する予定だ。なお、平常時は駅ホーム上の照明に電力を供給する。お湯はホームの待合スペースに設置するウォームベンチの加温に利用する計画だ。
JR東日本は車両下部の水素タンクから水素を供給し、燃料電池で発電した電力を利用する「燃料電池ハイブリッド鉄道車両」の開発を進めており、試験運行も行っている。既にドイツでは燃料電池を利用した鉄道車両が2018年に実用化される予定だ。駅のみならず車両走行にも水素が利用される日が近づいている。
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