九州で風力発電が接続可能量に到達、無制限・無補償の出力制御へ:エネルギー管理
九州電力管内で風力発電設備の接続申し込み量が、接続可能量である180万kWに到達した。今後の接続契約申し込み分については、無制限・無補償での出力制御に同意することが前提となる。
九州電力は2017年5月25日時点における風力発電設備の接続申込み量が、接続可能量(30日等出力制御枠)の180万kW(キロワット)に到達したと発表した。5月26日以降の風力発電設備の接続契約申込み受付分については、無制限・無補償での出力制御に同意することが前提となる。
九州電力管内における風力発電設備の導入推移 出典:九州電力
風力発電の申込み量が接続可能量の180万kWを超過する可能性があることを受けて、九州電力は2017年3月7日に政府から風力発電設備の指定電気事業者に指定されている。そのため、同日以降はそれまで対象外だった20kW未満の小型風力発電も、出力制御の対象となった。今後は規模を問わず、全ての風力発電が無制限・無補償の出力制御対象となる。
九州電力管内における風力発電設備への出力制御適用の考え方 出典:九州電力
九州電力では2013〜2015年度における電力需要と風況実績をもとに、風力の接続量が180万kWを超え、追加で接続された場合の出力制御時間の見通しを発表している。追加接続量が50万kWの場合の出力制御時間は396時間(出力制御率:2.7%)、100万kWの場合493時間(同3.7%)、150万kWの場合は582時間(同4.9%)としている。
- 四国で太陽光が電力需要の66%に、出力制御の可能性が高まる
四国で4月23日の12〜13時に、一時的に太陽光発電の出力が電力需要の66%まで増加した。四国電力は火力や水力で需給調整を行ったが、今後も太陽光発電は増加する見込みだ。近い将来、出力制御が行われる可能性が高まっている。
- 太陽光・風力発電の接続可能量、原子力1基の廃炉を決めた四国だけ増加
全国7つの地域では送配電ネットワークに接続できる太陽光発電と風力発電に条件がつく。地域ごとの接続可能量を超えると、電力会社は発電設備の出力を無制限に制御できる。毎年度に実施する見直しの結果、四国の風力発電だけ7万kW増える。原子力を優先する国の方針が接続可能量を抑えている。
- 電力を輸出入する時代へ、世界最大市場の北東アジアに
いまや通信と同様に電力の領域でも多国間のネットワークが広がる。日本や中国を含む北東アジアに国際送電網を構築するプロジェクトが動き始めた。世界最大の電力市場に新たな競争がもたらされるのと同時に、各国をつないだ広域ネットワークで電力の安定供給を図りながら、自然エネルギーの電力を一気に拡大できる。
- 自然エネルギーへ移行する欧州、多国間で電力の取引量が拡大
欧州で自然エネルギーの電力が拡大する背景には、国際送電網による多国間の電力取引がある。島国のイギリスやアイルランドを含めて、欧州全体で年間に4500億kWhにのぼる大量の電力が国際送電網で送られている。他国との電力取引が活発なデンマークでは、輸出・輸入率が30〜40%に達する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.