全固体電池チップを量産へ、環境発電に最適:蓄電・発電機器
TDKは充放電可能な小型のオールセラミック固体電池を開発した。Bluetoothビーコン、環境発電システムなどに最適だという。
開発した全固体電池チップ 出典:TDK
TDKは、小型SMD(表面実装部品)技術を用いた放電可能なオールセラミック固体電池「CeraCharge」を発表した。2018年にも量産を開始する予定だ。
CeraChargeは小型EIA1812パッケージ(4.5×3.2×1.1mm)サイズの小型SMD設計で定格電圧1.4V、容量100μAh(マイクロアンペアアワー)を実現している。−20〜80°Cの温度に対応。充放電サイクルは、条件により1000回以上可能だという。短時間またはパルス動作のために数mA(ミリアンペア)の電流を引き出すことができる。SMD技術により、電池の配置が簡単で、リフロー方式のはんだ付けができ、そのため最終製品の生産コストを削減できるとする。
CeraChargeには一般的な電池に用いられている電解液を使用しておらず、セラミック固体電解質を介して充放電を行う。MLCC(Multi-Layered Ceramic Capacitor)のような積層技術をベースに製造しており、この技術により、従来型の充放電可能なリチウムイオン電池の比較的高いエネルギー密度と最小の体積を実現し、セラミックの多層コンポーネントの安全性と、大量生産の利点を融合させている。また、固体セラミック電解質を使用することで、火災、爆発、または液体電解質の漏出のリスクが少なくなるとしている。
さらにコンポーネントを直列、並列に接続することにより容量と電圧を増やすこと可能だ。これによりIoT(モノのインターネット)専用デバイス、リアルタイムクロック、Bluetoothビーコン、環境発電システムなど、さまざまなアプリケーションの可能性が広がるとする。
- リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは
電気自動車に必要不可欠なリチウムイオン蓄電池。だが、より電池の性能を高めようとしても限界が近い。そこで、実質的なエネルギー量がガソリンに近い金属空気電池に期待がかかっている。トヨタ自動車の研究者が発表したアルミニウム空気電池の研究内容を紹介する。開発ポイントは、不純物の多い安価なアルミニウムを使うことだ。
- プレスで作る「全固体電池」、電気自動車に向く
開発中の全固体リチウムイオン蓄電池セルを日立造船が公開した。第7回 国際二次電池展(バッテリージャパン 2016、東京ビッグサイト)では4種類の電池セルを見せた。製造時に液系プロセスを用いず、プレス加工によって電池セルを作り上げたことが特徴。使用時の加圧が不要で、エネルギー密度も確保した。
- ダイソンが固体電池実用化に本腰、米ベンチャー企業を完全子会社化
英国ダイソンは2015年10月23日、固体電池技術の研究開発を進める米国Sakti3を完全子会社化すると発表した。Sakti3は電池技術開発ベンチャーで、プロトタイプとして開発した全固体電池は、バッテリー密度で1100Wh/l以上を実現したという。
- 全固体リチウム電池、発明者が狙う次の一手
再生可能エネルギーの大規模利用や電気自動車の普及に役立つリチウムイオン蓄電池。同電池の発明者がテキサス大学の研究チームを率いて、これまでにない「めっき動作」で電力を蓄える全固体リチウムイオン蓄電池を開発した。蓄電池に求められる全ての性能を改善できる。
- 環境発電で照明を制御、電源と配線が不要な「EnOceanスイッチ」
自然に存在する微小なエネルギーを使って電力を作る「環境発電(エネルギーハーベスティング)」の技術が家庭にも広がっていく。ヨーロッパを中心に普及し始めた「EnOcean」の技術を利用したスイッチが日本国内で9月に発売される。無線対応の照明器具を使えば電源と配線が不要だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.