新制度に移行した太陽光発電、政府の2030年目標を超える導入量に太陽光

経済産業省が改正FIT法で設備認定が失効となった案件数の推定値を公表。太陽光発電については、政府が2030年の電源構成で目標としている6400万kWの導入量を、既に超える案件数が新制度に移行する見込みだ。

» 2018年02月07日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 経済産業省は2016年6月末までに「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」で設備認定を行った案件のうち、改正FIT法に基づく新制度への移行期限までに電力会社と系統接続契約を結ぶことができず、認定失効となった案件数の推定値を公表した。2018年1月に開催した「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」の中で公開したもので、失効した案件数は1610万kW・27万件にのぼる。

 経済産業省は2017年4月に認定が失効する案件の推定値を、2766万kW・45.6万件と発表していた。今回公表した1610万kW・27万件は、大幅に下方修正したことになる。これは石炭との混焼発電を行うバイオマス発電事業のバイオマス比率を考慮し石炭分を除外した影響や、想定より期限内に接続契約に至った案件が多かったためとみられる。

 失効した案件数の大部分を占めるのが、非住宅用の太陽光発電だ。失効案件数は1463万kW・26万件だった。2017年3月末時点までの非住宅用太陽光発電の認定容量は、7905万kWである。単純にこの認定量から失効案件数を差し引くと、非住宅用の太陽光発電は約6400万kWが新制度に移行することになる。

非住宅太陽光発電の認定失効数 出典:経済産業省

 ただし、2016年7月1日〜2017年3月31日の間に認定を取得した案件は接続契約に9カ月間の猶予があるため、今回公表された失効案件数には含まれていない。ただ、経済産業省が公表しているFIT認定設備の導入状況から概算すると、この期間に認定を受けた非住宅太陽光発電の認定容量は約375万kW。2017年3月末時点までに認定されている住宅用太陽光発電の認定容量549万kWも新制度に移行することを考慮すると、375万kWがすべて失効しても、政府が2030年の電源構成(エネルギーミックス)において、太陽光発電の導入目標として掲げる全電源の7%、約6400万kWという数値は既に超える見込みだ。

 なお、この他の電源では、風力が38万kW・710件、地熱が4000kW・21件、中小水力が14万kW・64件、バイオマスが95万kW・82件が失効している。

風力、地熱、中小水力、バイオマスの認定失効数 出典:経済産業省

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