費用をかけたのに効果なし、実は失敗が多い太陽光発電の雑草対策工法とは?基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(3)(2/2 ページ)

» 2018年06月19日 07時00分 公開
前のページへ 1|2       

防草シートを導入したのに雑草が発生

 もう1つ、雑草対策としてよく行われるのが、太陽光を遮断して雑草の生育を防ぐ防草シートの導入です。しかし、せっかく費用をかけて防草シートを施工したにもかかわらず、施工したその年から雑草が発生している事例を多く見受けます。その理由は「施工不良」と「材料選定ミス」の2つが大半だと考えられます。

 より具体的に説明すると施工不良とは、1.雑草の除去不足、2.突起物除去などの整地不足、3.メーカーの施工要領書、推奨施工に従っていないなどがあります。

 材料選定ミスとは、耐候性の無い防草シートや薄く強度が無い防草シートを選択したために、数年で張り替えなければならなくなる場合です。薄く強度のない防草シートでは、カヤがシートを突き破ってしまうことがあります。

材料選定ミスと施工不良による施工後3カ月の状態

 防草シートの張り替えや補修作業は大変手間と費用がかかります。野原グループが施工する場合、必ず現地調査を行い、現場の詳細な情報を把握した上で最適な工法を決定します。発電事業者の方が、我々のように専門家になる必要はあまりないと考えますが、費用だけで選ばず、ご自身の発電事業所の現場環境をある程度理解した上で、防草シート施工の最適な費用対効果を事前に検証することが重要です。

草刈の注意点

 草刈作業には、手での草むしり、草刈り鎌や草刈り機などの道具を使用する場合、除草剤を散布する場合などありますが、意外と注意点が多いです。その概要を、以下の表にまとめてみました。

草刈作業のリスク分類

 草刈作業は、皆さまが思われているよりも関連費用がかさむ場合が多いです。また、発電設備および作業員の安全管理にも注意する必要があります。特に、安全管理は太陽光発電事業における最重要項目だと考えていますので、ご確認と実行をお願いします。

 次回は雑草の種類や、植生の状況に合わせた最適な対策工法について解説します。

著者プロフィール

増田幹弘(マスダ ミキヒロ)
野原ホールディングス株式会社 事業開発部 再生エネルギープロジェクト室長
太陽光発電アドバイザー、緑の安全管理士、「東京都農薬指導管理士」

大阪出身、近畿大学卒業。1999年、私費にて参加したエコに関する研究会にて、電気を庭に取付けた太陽光発電と自動車の大型バッテリーから、給湯は太陽熱を利用するなどの、今でいうゼロエネルギー住宅(奈良県)を視察し感銘を受ける。自宅をオール電化にし屋根には発電システムを取り付け、自宅エネルギー消費データを2年間記録、上記研究会にて発表。その後も省エネ、省資源についての研究を深め、建材の開発、リサイクルシステム、工場のエネルギー消費削減に大きく貢献。

2009年、野原産業(現 野原ホールディングス)に入社。2013年、事業開発部において八ヶ岳研修所の遊休地活用事業として太陽光発電プロジェクトを主幹。現在は、太陽光発電に関わる新事業として、第三者の視点からの太陽光発電設備の保守・点検(O&M)サービス「SUNSUN GUARD 20」を展開。豊富な知識と多様な事例、経験から、太陽光発電事業者向けセミナーにて講師も務める。「PV Japan 2018」(パシフィコ横浜)で、太陽光発電所の雑草対策に関する講演を出展者セミナーにて実施予定(6月20日、11時30分〜)


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.