大林組と東亜建設工業が、洋上風力発電設備に用いる自己昇降式作業台船の建造を決定。完成は2020年10月の予定だ。
大林組と東亜建設工業(東京都新宿区)は2018年9月、洋上風力発電設備に用いる自己昇降式作業台船(Self Elevating Platform、SEP)を建造することを決定したと発表した。
政府は第5次エネルギー基本計画で、再生可能エネルギーを確実な主力電源とするため、その布石としての取り組みを早期に進めるとしており、中でも風力発電は大規模開発によって経済性を確保できるエネルギー源と位置付けられている。しかし、大規模開発の適地とされる洋上での風力発電所の建設では、発電所の規模に適合する大型の着床式洋上風力発電設備(発電容量5.0MWクラス)を設置できるSEPが日本国内において不足しているという。それに加え、既存の作業船を利用した場合、海象条件によっては工事を進めることができないなど、作業効率の低下が課題となっている。
そこで両社は、今後拡大が期待される国内の洋上風力発電所建設市場に対応するため、国内で初めて大型洋上風力発電所の建設を目的としたSEPの建造を決定した。
今回建造するSEPは、発電容量9.5MWクラスまでの大型着床式洋上風力発電設備を導入する発電所の建設を可能とする国内初のSEPとなるという。また、国内最大の積載重量を有し、大型洋上風力発電設備を最大3台まで搭載可能なため、高い施工効率を実現する。
さらに発電容量5.0〜9.5MWクラスの着床式洋上風力発電設備の組み立てが可能な800t吊り大型クレーンを装備。将来的な風車の大型化に対応するため、1000t吊(つ)り大型クレーンへの変更も可能で、10.0MW以上の発電設備にも対応できるという。
このほか、船体を所定の位置に誘導するダイナミックポジショニングシステム(DPS)と操船ウインチを装備しているため、建設現場の条件に応じて最適な位置決め方法を選択のうえ建設することが可能だ。
建造は国内の気象・海象条件を熟知したジャパンマリンユナイテッド(横浜市)が基本設計から建造までを一貫して行う。完成、引き渡しは2020年10月の予定。
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