電気使用の“工夫”を買い取り、ヒートポンプ給湯器を活用したDRサービス登場太陽光

中部電力とデンソーが、家庭用のヒートポンプ給湯器を利用したデマンドレスポンスサービスを発表。自動で行われるヒートポンプ給湯器の制御などによって節電に協力した場合、翌月の電気料金が割安になるというサービスだ。

» 2018年12月06日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 中部電力とデンソーは、家庭用エコキュート(自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機)および全館空調を活用して地域の電力需要を調整するデマンドレスポンスサービス「CO(コ)ーエネ」を2019年2月1日から開始する。

 両社は、デマンドレスポンスサービスの提供やバーチャルパワープラントの構築に向けた取り組みとして、エネルギーマネジメントシステムを共同開発し、トヨタホームの協力を得て、2018年1月から豊田市などで実証実験を進めてきた。

 同サービスは、中部電力が提供する客参加型取り引きサービス「これからデンキ」の一つとして、両社が共同開発したエネルギーマネジメントシステムを活用し、電気の使い方の工夫を買い取るものだ。具体的には、電力使用量の多い夏場の時間帯や、太陽光発電の発電量が多い時間帯など、中部電力が電力の需要と供給のバランスを調整したい場合に、家庭に設置されたデンソーのHEMSを介して、例えば「春や秋の休日に、エコキュートの沸上げ時間を深夜から昼間にシフトする」といったエコキュートの運転時間や、「夏のピーク時に、全館空調の設定温度を1度上げる」など全館空調の温度を自動でコントロールする。

 協力した利用者には、エコキュートや全館空調のコントロール時間に応じた対価を「買い取り額」として、翌々月の電気料金に充当する。買い取り額はサービス加入者に毎月一律に設定する「基本分」と機器のコントロール実績をもとに設定する「コントロール分」で構成する。「コントロール分」は、季節や時間帯(電力系統の状態)に応じて変更する場合がある。

 利用者には、機器をコントロールする日時などを事前に知らせた上で、自動でコントロールを行うことから、利便性や快適性は損なわないとしている。なお、機器のコントロールは月に5回までかつ1日2回までで、1回につき最大120分としている。なお、需要側は都合に応じて機器のコントロールを自由にキャンセル可能だ。

サービスのイメージ 出典:中部電力

 今後、デンソーのHEMSやエコキュート、全館空調などを採用しているトヨタホームの顧客をはじめ、広く提案を進める。さらに、同サービスの開始を第一歩として、蓄電池やEV・PHVを制御対象に追加するなど、サービス内容を順次拡大し、電力需要に対する調整力を一層高める方針。

 両社は、今後も、「エネルギー×モビリティ」のサービスプラットフォームを構築し、新たなサービス・ビジネスの創出に取り組む。中部電力は「これからデンキ」を通じて、AIやIoTなどの最新技術を活用しながら、個人間取り引きや個人と企業間の取り引きといった様々な電力を創出し、新しい参加型取り引き型サービスを打ち出す方針だ。

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