政府が2019年度における事業用太陽光発電(10〜500kW未満)のFIT価格の方針を固めた。2018年度より4円低い14円/kWhとなる見込みだ。大幅な引き下げの根拠となるコスト分析の結果も公表している。
「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」の買い取り価格を決める調達価格算定委員会が2019年1月9日に開催された。その中で、2019年度における10kW(キロワット)以上、500kW未満の事業用太陽光発電の買い取り価格(調達価格)を、2018年度の18円/kWh(キロワット時)から4円引き下げ、14円/kWhとする方針が示された。
買い取り価格を引き下げる根拠となったポイントは大きく3つある。1つが発電所の建設に必要なシステムの費用が着実に下がっていることだ。システム費用は太陽光パネルやパワコン、架台など、発電所に必要な機器とその工事費用が含まれている。
委員会で示されたデータでは、2018年に設置された10kW以上の案件のシステム費用平均値は、昨年より1.4万円低い28.6万円/kW(中央値は27.4万円/kW)に下がった。規模別でみると、10〜50kW未満で28.7万円/kW、50〜500kW未満で25.5万円/kW、500〜1000kW未満で24.8万円/kW、1000kW以上で27.1万円/kWとなっている。
買い取り価格の根拠となるシステム費用の試算には「トップランナー分析」が用いられる。これまではトップランナーの対象を「1000kW以上の上位25%」としていた。1000kW以上の案件が全体のシステム費用の低減をけん引する傾向にあったからだ。これに基づき、2018年に設置された案件のシステム費用の平均を計算すると、20.55万円/kWとなり、2017年より1.52万円下がっている。
ただ、2018年における50〜500kW未満と、500〜1000kW未満のシステム費用の平均値を見ると、2年連続で1000kW以上の平均値を下回る結果となるなど、最近では50kW以上全体で足並みをそろえて価格低減が進んでいる傾向が見えてきた。そのため、2019年度以降の買い取り価格の決定については、トップランナー分析の対象を50kW以上とすることが決まった。50kW以上を対象とした場合の2018年設置案件のシステム費用中央値(上位50%)は24.47万円/kWだ。
すると、残るはトップランナー分析の対象を「上位何%」とするかが焦点となる。委員会では新規認定案件については3年という運転開始期限が設定されることから、2015年と2018年の設置案件のシステム費用を比較し、コストの低減度合いを調査した。その結果、3年前の上位15%水準は、最新年(2018年)の上位45%水準程度に相当し、最新年の中央値よりも安価な水準となった。一方、3年前の上位20%水準は最新年の上位51〜52%水準程度に相当し、最新年の中央値よりも高価な水準であることが分かった。
こうしたデータを考慮して2019年度のシステム費用の水準は、2018年度の設置案件のうち、15%と20%の間である上位17.5%を対象とし、18.2万円/kWに設定。これは買い取り価格が18円/kWhである2018年度の水準より2.9円低い。
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