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» 2019年01月30日 07時00分 公開

蓄電・発電機器:パワー半導体市場はリーマン以前を超える、再エネ・EVなどが成長要因に

矢野経済研究所がパワー半導体の世界市場の調査結果を公表。2017年の世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は177億4500万ドルとなり、リーマンショック前を大きく超える市場規模に到達した。再エネやEVの普及が市場成長を後押しする。

[スマートジャパン]

 矢野経済研究所はパワー半導体の世界市場の調査結果を公表した(調査期間2018年7〜10月)。それによると、パワー半導体世界市場は年平均成長率6.7%で推移し、2025年には299億ドルに達すると予測している。

 2017年のパワー半導体の世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は、前年比12.2%増となる177億4500万ドルであった。2017年はリーマンショック前を大きく超える市場規模に達している。2016年後半から「情報通信」「民生」「産業」「自動車」の4分野全ての需要が伸長し、パワー半導体メーカーの生産ラインはフル稼働状態が続いている。2018年についても主要パワー半導体メーカーの受注は堅調に推移していることから、2018年の同市場規模は前年比9.2%増の193億7100万ドルを予測する。

パワー半導体世界市場の推移 出典:矢野経済研究所

 デバイス別に市場をみると、産業機器向けを中心にパワーモジュールの出荷が拡大し、中でも産業用ロボットや工作機械、半導体製造装置などで使われているサーボモーター向けパワーモジュールの需要が好調だった。MOSFETは情報通信分野と自動車分野向けの需要が伸びている。特にモーター制御の適用箇所が拡大している自動車は、車両一台あたりに搭載されるMOSFETの数が増加しており、2019年以降も高い成長が見込めるものと考えている。

 また、2017年のSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比35.4%増となる3億1000万ドルで推移した。コストダウンが進んだSiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)が需要の中心であり、情報通信分野(サーバの力率改善回路)、産業分野(太陽光発電用パワーコンディショナー、産業機器用電源、電気自動車用充電ステーション)、自動車分野ではEVのオンボードチャージャー(OBC)などで使われている。2018年については、EVのメインインバーター、OBCにSiC-MOSFETが採用されたために、自動車分野向けの市場規模が増加する見込みだ。

 2020年以降についてはSiCパワー半導体の自動車分野向け需要が本格的に立ち上がり、ハイブリッド車や電気自動車のメインインバーターへの採用が段階的に進むとみられる。6インチSiCウエハーによる量産効果が2021年以降に出始めるために、Si(シリコン)パワー半導体とのコスト差が小さくなることでSiCパワー半導体の搭載用途が広がり、2025年には25億4000万ドルに成長すると予測する。

 2025年におけるパワー半導体の世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は299億2000万ドルになると予測する。2017〜2025年までの年平均成長率(CAGR)は6.7%で推移し、2025年の市場規模は2017年の約1.7倍に相当する。

 2018〜2020年にかけては需給がひっ迫する市場環境が続くために、前年比7〜9%台の増加で伸長し、2020年のパワー半導体世界市場規模は225億3000万ドルに達すると予測する。2021年以降については、2019〜2020年において各社が計画している設備投資の効果が順次出始め、供給数量も安定していくために、前年比5〜6%台で推移する見通しだ。

 この背景にはIoTの世界的な広がりによる大規模データセンターの増加、白物家電や産業機器、再生可能エネルギー分野(主に太陽光発電・風力発電)向けの安定した成長、HVやEV、また欧州、中国を中心とした車載用48V電源システムの普及拡大などがあり、こうした需要がパワー半導体世界市場全体の成長要因として挙げられる。

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