さらに太陽光パネルやケーブルに起因する火災は、パネルの設置の仕方によって、延焼による被害の度合いが大きく異なることが分かった。
まず、今回の調査では太陽光パネルの屋根への設置方式を、以下の4つに分類している。
このうち、屋根の野地板まで延焼が及んでいたのは、全て「鋼板などなし型」だった。野地板は屋根の傾斜をかたち作る垂木(たるき)の上に貼る板状の材料で、一般的に木材が利用される。野地板への延焼で被害が拡大した7件の火災は全て太陽光パネルと野地板の間に、鋼板などの不燃材を挟んでいない「鋼板などなし型」で発生していた。
経産省へのヒヤリング結果によると、住宅用太陽光発電システムの累積設置棟数全体における「鋼板などなし型」の割合は、約4.5%(10万7000棟)になるという。調査委員会では、こうした結果を踏まえ調査委員会では、「鋼板などなし型」でパネルが設置された住宅の火災に関するリスクアセスメントの実施や、太陽光パネルの設置形態の変更、導入時の保証期間を超えたものについては応急点検の実施を求めた。また、日本電機工業会と太陽光発電協会に対し、保守点検ガイドラインに「鋼板などなし型」についての点検項目の見直しを求めている。
調査委員会では、戸建住宅の屋根上に太陽光発電システムを導入しているユーザーを対象に、インターネット上でのアンケート調査も実施した。都道府県ごとに約30のサンプルを無作為に抽出し、合計1500サンプルを収集した。その結果「導入後10年を超える製品は今後急速に増える」「修理を要する故障を全体の約1割が経験している」「保守点検は全体の約7割が実施していない」「火災などの発生リスクに関する認識は十分ではない」といった結果が得られたという。
特に、保守点検の実施割合が低いことについては、2017年4月に施行された改正FIT法以前は実施が義務付けられていなかったことが影響していると分析。今後は、所有者に対し自らが保守点検について責任を負うことを改めて認識させるとともに、所有者が保守点検を容易に実施できるよう、必要な措置を講じることが重要とした。
一方で屋根上に設置される太陽光発電システムは、所有者自身が状況確認を行うことが難しいという特性があることも明記。その上で確実な保守点検の実施を広めていくためには、機器の状況を点検する能力を持つ製造業者と、販売において所有者の窓口となっている住宅・建築業者の協力も不可欠とした。
この他、経済産業省に対して、今後の製品および技術開発の方針として、以下の4点を求めている。
結果として、必要に応じて関連規格を見直すこと
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.