船の上で「バイナリー発電」、エンジン排熱をCO2削減に生かす自然エネルギー

川崎汽船の石炭専用船に神戸製鋼所が開発中の「舶用バイナリー発電システム」を搭載。エンジン排熱を活用して発電するシステムで、船舶の運行時におけるCO2排出量の削減に役立つという。

» 2019年02月12日 09時00分 公開
[スマートジャパン]

 神戸製鋼所は開発中の「舶用バイナリー発電システム」を、このほど完成した川崎汽船の石炭専用船「CORONA YOUTHFUL」に搭載し、両社で約3年間の実船運用に関する共同研究を行う。研究では実際の運用条件における同本装置の性能や耐久性の確認に取り組む。

「舶用バイナリー発電システム」を搭載する石炭専用船「CORONA YOUTHFUL」 出典:川崎汽船

 搭載した舶用バイナリー発電システムは、従来、大部分が廃棄されていた船舶の主エンジンの排熱を熱源に、最大約100kW(キロワット)の発電が可能だ。発電した電力は船舶の動力の補助電源などに有効活用されることで、発電機エンジンの燃料およびCO2の削減への貢献を目指す。

 舶用業界では、2018年4月に国際海事機関(IMO)により、船舶に対し2008年比で2030年までにCO2排出量を40%減、さらに2050年までに70%減に努めるという目標が設けられ、対応が急務とされている。同社は、2011年に陸上用のバイナリー発電システム「マイクロバイナリー」を開発、販売開始し、工場排熱、地熱などの熱源とした分野に多くの納入実績がある。

 こうした知見をもとに、船舶における排熱に着目し2014年から舶用のバイナリー発電システムの開発を開始し、2016年にプロトタイプでの海上試験を完了し、商品化を進めてきた。

 同システムは、船舶の中で大半を占めるエンジン出力5000kWクラス以上への適用が可能なことから、幅広い船舶に対応できる特徴がある。また、舶用エンジンは負荷変動が大きいが、同社のスクリュ式バイナリー発電機を利用することで、低負荷から高負荷まで幅広いレンジで発電可能としている。

 また、同システムは、日本海事協会(日本)、Lloyd(イギリス)、およびDNV・GL(ノルウェー)の認証機関の承認を取得している。

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