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» 2019年03月25日 07時00分 公開

基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(9):事故があれば太陽光発電オーナーに責任も、注意したい雑草対策業務の「安全管理」 (1/2)

日本でも稼働から数年が経過する太陽光発電所が増える中、課題の一つとなっている雑草対策について解説する本連載。今回は草刈りや農薬散布などの雑草対策業務における「安全管理」について解説する。事故などが発生した場合、業務を発注した発電事業者側の責任が問われる場合もあるため、注意したいポイントだ。

[増田幹弘 野原ホールディングス株式会社,スマートジャパン]

 まず、読者の方へお礼を申し上げたいと思います。皆さまに記事を読んでいただいた結果、本連載の第1回目の記事が、2018年にスマートジャパンで最も読んでいただいた記事となりました。私自身も「太陽光発電なのに雑草の記事がなぜ1位?」と正直大変驚いております。この場をお借りして深くお礼申し上げます。

 皆さまの発電所管理に少しでもお役に立てるよう頑張って記事を書かせていただきますので、今回の記事もご愛読をお願い申し上げます。

雑草対策における「安全管理」の重要性

 前回(「太陽光発電所での農薬利用、「法令違反」を避けるための注意点」)に続く内容ですが、草刈りと農薬使用における除草を計画・実施する際に気を付けなければならない「安全管理」のポイントを解説したいと思います。「なぜ安全管理?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、20年以上という長い年月にわたって安全に発電事業を継続する上で、安全管理は大変かつ非常に重要なことだからです。発電所内で事故が発生した場合、発電事業者の責任が問われることになります。

 例えば、過去にテレビなどで報道されましたが、大きな工場の高所屋根に設置した太陽電池パネルを洗浄中に、18歳未満の少女が落下し、亡くなったという悲しい事故がありました。この場合、労働基準法第62条「満18歳未満の危険有害業務の就業制限」に対し、法令違反となります。業務を発注した発電所のオーナー側にも大きな責任が生じるからです。労働基準監督署への対応だけでなく、場合によっては、改正FIT法に基づく改善命令や認定取り消しになる可能性もあります。

 また、2018年は太陽光発電所の事業環境が大きく変わり、自然災害による被害も全国各地で発生した年でした。太陽光発電事業の運営に対し、地域、行政からの厳しい視線がなお一層増えてきたと実感しています。さらに法令違反の発電所に対し、認定を取り消す例も初めて登場しました。太陽光発電事業を開始または継続するからには、適切かつ安全安心に運営していくことが必須条件ということを、強く認識する必要があります。

除草作業における安全管理

 連載第4回の「雑草対策の失敗を防ぐ『太陽光発電所版IPM」とは何か?』では、毎年、定期的に発生する草刈りおよび農薬等薬剤を使用する際の「安全管理」に絞って、説明を行いました(この中では防草シートなど、長期的に補修、再施工が必要な工法は除外させていただいております)。

 今回は、安全対策が一番のリスク対策になることをわかりやすく解説しますので、第4回と照らし合わせながら読んでいただくとご理解しやすいと思います。

 安全管理(リスク管理)は、その対象によって「発電所設備」「地域・近隣」「作業者」の3つに大きく分けられます。この点を押さえることが、太陽光発電所を長期に安定した主力電源として成り立たせる、安心安全な事業運営につながると思っています。

 以下でこの3点が、各工法の何に該当するかを表にまとめてみました。

表1 「工法と安全管理の対象」 ※明らかな法令違反行為などは対象外

 ご覧の通り、それぞれの雑草対策方法によって、安全(リスク)管理の対象が違ったり、重なったりしているのがわかります。このことからも、雑草対策業務における安全管理の方法は画一的ではなく、対象に合わせた管理が必要であることをご理解いただけるかと思います。

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