企業の脱炭素化を支援、仏シュナイダーが日本で「マイクログリッド事業」に参入

仏重電大手のシュナイダーエレクトリックが日本でマイクログリッド向け事業に参入すると発表。ESG投資や「RE100」への対応など、企業の脱炭素化に向けたニーズが高まっていることを受け、同社のマイクログリッド構築ソリューション「EcoStrxure MicroGrid」を2019年4月中旬から展開する。

» 2019年04月09日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 仏重電大手のシュナイダーエレクトリックは2019年4月8日、日本でマイクログリッド向け事業に参入すると発表した。ESG投資や「RE100」への対応などに向け、再生可能エネルギーの活用や地球温暖化対策を推進する企業や自治体向けに、同社のマイクログリッド構築ソリューション「EcoStrxure MicroGrid」を同年4月中旬から展開する。

 シュナイダーエレクトリックは製造業やユーティリティ産業など、さまざまな産業のデジタル化を支援するIoTプラットフォーム「EcoStrxure(エコストラクチャー)」を展開している。新たに日本で展開する「EcoStrxure MicroGrid」も、このEcoStrxureを基盤としたソリューションだ。

 EcoStrxureは大きく3つのレイヤーで構成される。ネットワークに接続できる「コネクテッドデバイス」、デバイスを通して集められるデータを最適に処理する「エッジコントロール」、集めたデータを分析する「アプリ・アナリティクス・サービス」の3つだ。これら3つのレイヤーの製品・ソリューションが連携することで、デジタル化された効率的なエネルギーマネジメントや、ファクトリーオートメーションの実現を支援するというのがEcoStrxureコンセプトである。

 EcoStrxure MicroGridではコネクテッドデバイスのレイヤーとして、マイクログリッド向けのスイッチギア、変換器、インバーターなどを展開する。他社製の機器とも通信可能なのが特徴で、既に日本メーカーの機器が導入されている場合でも、マイクログリッドを構築しやすいという。

 エッジコントロールの領域に対しては、停電時にマイクログリッド側を系統から切り離して、オフグリッドでの電力供給を行うといった、制御領域に関するソリューション「EcoStrxure Microgrid Operation」を展開。「アプリ・アナリティクス・サービス」については、需要家側の消費電力量や各分散電源の発電量、貯蔵可能量の予想など、需給領域の最適化を担う「EcoStrxure Advisor」を提供する。

「EcoStrxure MicroGrid」の概要 出典:シュナイダーエレクトリック

 これら3つのレイヤーのソリューションを一気通貫に提供することで、マイクログリッドの構築から実際の運用までをトータルにサポートするという。対象とするマイクログリッドの形式は系統連系を継続する場合から、完全なオフグリッドタイプまで対応。規模については、オフィスや学校、商業施設などの建物や施設単位でのマイクログリッド構築から、離島や街全体など大規模なものも対象とする。

「EcoStrxure MicroGrid」が対象とするマイクログリッドの規模 出典:シュナイダーエレクトリック

 シュナイダーエレクトリックの中でエネルギー産業向けのソリューションを展開するパワーシステム事業部は、これまで日本市場においては、日本企業が受注した海外プラント案件や、国内の太陽光発電などに向けた受配電設備の製造・提供を行ってきた。EcoStrxure MicroGridの提供を通じて、マイクログリッドを日本におけるパワーシステム事業の新しい柱に育てたい考えだ。

シュナイダーエレクトリックの青柳氏

 このタイミングでEcoStrxure MicroGridの日本市場への投入を決めた理由について、シュナイダーエレクトリック パワーシステム事業部 バイスプレジデントの青柳亮子氏は、自然災害を想定したレジリエンスの強化といったニーズに加え、ESG投資への対応や、事業用電力を再生可能エネルギー100%で運営することを目指す国際イニシアチブ「RE100」に加盟する日本企業が増加しているなど、企業の“脱炭素化ニーズ”が拡大している点を挙げた。

 シュナイダーエレクトリックはマイクログリッドに関して既にグローバルで130以上の構築実績がある。こうしたグローバルでの知見を生かした提案を進め、日本のパワーシステム事業の売上高を2020年度までに倍増させる計画だ。

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