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» 2019年05月08日 07時00分 公開

基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(11):雑草で売電収益が圧迫された太陽光発電所、現場をどう改善したのか? (1/2)

日本でも稼働から数年が経過する太陽光発電所が増える中、課題の一つとなっている雑草対策について解説する本連載。最終回となる今回は、実際に雑草に起因した問題に悩まされていた太陽光発電所を、運営体制も含めて改善した事例を紹介します。

[増田幹弘 野原ホールディングス株式会社,スマートジャパン]

 今回は、実際に雑草に起因した問題に悩まされていた太陽光発電所を、運営体制も含めて改善した事例をご紹介します。野原ホールディングスでも何度か改善実績のある、地元雇用による「草刈業務」と、専門家による「農薬を活用した除草」を組み合わせた発電所の運用改善事例です。除草作業費用の削減とともに、ICTを活用して事務量や管理費用を削減しつつ、長期安定した保守体制を築きました。

雑草に埋もれた太陽光発電所(写真はイメージです)

雑草で発電量が低下、除草費用が収益を圧迫

 このケースでは、発電事業者は雑草の影による発電量低下と、植生変化による除草費用の増大に対し、的確な対応ができず悩んでいらっしゃいました。さらに、近隣環境へ悪影響を及ぼす雑草の拡散や、美観が欠如するなどの理由で、発電所の管理に対する苦情が入り始め、問題となっていました。

 この発電事業者の方は複数所有する太陽光発電所も含め、全て草刈作業によって雑草対策を行っていました。しかし、年々増える雑草量と植生変化に対応できず、回数や作業日数が増えたため対策費用が増大し、収益を圧迫し続けていました。

 さらに、雑草を捕食する動物が発電所に侵入し生息地になったため、設備の破損や近隣作物への被害も発生していました。また、試験的に除草剤(おそらく無登録農薬と思われる)による対策を実施するも、不適切な除草剤の採用と専門知識がない無資格業者による不適切な使用方法により、近隣からの苦情も発生。限られた予算の中、他の工法の採用もできず、「万策が尽きた状態」でした。

 そこで弊社に問い合わせがあり、対象の現地調査と土を採取しての土壌分析をおこないつつ、ヒアリングを行いました。

 コンサルティングをしていく中で、大変驚いたことが3つありました。1つ目は本来、除草業者が提出すべき実施計画書がないこと。2つ目は、報告書はあるが除草業者側の資格者リストや写真台帳がないまたは欠如、フォーマット・記載内容がバラバラで、次年度の対策にいかせないこと。3つ目は作業者に低圧・高圧電気取扱業務特別教育を修了した方がいなかったという点です。

 原因は発注者側にもありました。業者が提案書や見積もりを作成するための「除草作業仕様書」がなく、業者任せとなってしまっていたのです。

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