再エネを軸に地域活性化を目指す、全国ネット「JE-LINK」が発足自然エネルギー(1/3 ページ)

再エネが、地域活性化の切り札になる──。地域新電力や自治体、発電事業者などが集う全国ネットワーク「地域活性エネルギーリンク協議会(JE-LINK)」がスタートした。

» 2019年07月08日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

地域内と地域間、2つのLINKで活性化

 再生可能エネルギーを使って地域活性化を目指す自治体や地域新電力、発電事業者、サポート企業などからなる全国ネットワーク「地域活性エネルギーリンク協議会(JE-LINK)」が2019年6月5日、都内ホールで設立記念公開セミナーを開催した。JE-LINKは同年4月1日、「エネルギーの地産地消による経済循環と地域の活性化」を目的に、36団体の参加をもってスタートした(参加団体の一覧は記事末尾に記載)。今回が初の公開セミナーとあって、参加団体関係者はもちろん、各地の自治体やエネルギー事業者の関心を集めた。

JE-LINK設立記念公開セミナーの様子

 「エネルギーの地産地消」や「再エネによる地域活性化」への取り組みは、2016年4月1日の電力の小売り全面自由化以降、全国で着実な拡がりを見せている。また、そうした取り組みに関連する団体も既にいくつか存在するが、JE-LINKはその名の通り「リンク=連携」を前面に掲げているところが新しい。セミナー冒頭、挨拶に立った代表理事の北村和也氏は、JE-LINKの役割は「2つのリンク」をサポートすることにあるとして、次のように話す。

 「地域内のリンク、地域間のリンク、この2つのリンクを実現することが重要だと考えています。まず、それぞれの地域の中で、発電事業者・地域新電力(エネルギー供給事業者)・自治体、この3者による有機的な連携体制を構築する必要があります。つまり、エネルギーをつくる側と供給する側、そして地域行政の連携です。さらに、そうした取り組みを地域内で終わらせるのではなく、例えばエネルギーの融通など、地域と地域が連携していくことが大切になってきます。私たちJE-LINKは、この2つのリンクをお手伝いし、個々の事業をサポートすることで、広く各地の活性化を図りたいと考えているのです」

北村和也氏(JE-LINK代表理事)

 それらを実現していくために、JE-LINKでは、地域の発電事業者・新電力および自治体間における情報交換のための場づくりを行う。そして、技術・ノウハウ・ファイナンスなどのアドバイスを提供し、自治体あるいは民間企業が一体となって行う地域活性化に向けた各種事業を支援していくという。実際に各種技術・ノウハウをもつ民間企業(8社)が、サポート会員として参加しているところもJE-LINKの強みだ。

JE-LINKが推進する2つのリンク

東北の市町村と横浜市が連携協定

 JE-LINK設立記念公開セミナーでは、地域間リンクの事例として、横浜市と東北12市町村の間で今年2月に締結された「再生可能エネルギーの活用に関する連携協定」が紹介された。横浜市副市長の小林一美氏と久慈市長の遠藤譲一氏がそろって登壇し、自治体としての狙いと具体的な施策について発表した。

小林一美氏(横浜市副市長)/遠藤譲一氏(久慈市長)

 374万人という基礎自治体1位の人口を抱え、事業所数11万を擁する横浜市は、電力需要が極めて大きい。しかし、活用できる土地は少なく、再エネの開発には限りがある。一方で、久慈市(岩手県)が位置する東北地方には再エネ発電所のために活用できる土地・海域が多く、再エネ電力供給源としてのポテンシャルは大きい。両市の連携協定は、この需要と供給を結び付けることで、それぞれの自治体が抱える課題の解決を図ろうとするものだ。

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