富士経済は自家消費型の太陽光発電関連市場に関する調査結果を発表。昨今注目の卒FIT関連のサービス市場は、2030年度までに現状の約10倍の規模に相当する409億円まで拡大すると予測している。
富士経済は2019年10月、自家消費型太陽光発電システム市場に関する調査結果を発表した。太陽電池など関連機器の他、卒FIT向けの余剰電力買取サービスや第三者所有モデルなどの関連ビジネスも対象とした調査で、2030年度の同市場は2018年度比で4.7倍の7694億円に拡大すると予測している。
自家消費型太陽光発電システムの国内市場の拡大は、パリ協定以降の脱炭素化に向けた動きとそれに伴うESG投資の活発化、太陽光発電のコスト低下、買取価格の下落が続くFITを利用した売電型太陽光発電事業の鈍化などが後押しするとしている。特に非住宅用は、ESG投資を進める企業の環境戦略や、電気料金コストの低減などを目的に需要増加が期待され、2023〜2024年度頃には半数が自家消費型になると予測した。
2019年度の太陽電池の国内市場規模は4457億円の見込みとしている。直近では、未稼働案件の認定期限が迫っている高圧・特高案件の駆け込み需要が増加している。未稼働案件は2021年度以降に着工が一巡するため、以降は同案件の大幅な縮小が予測される。
今回の調査では注目市場として、FITによる買い取りが満了を迎える、いわゆる卒FITユーザー向けのサービス市場や、第三者所有モデルなどの市場規模の推移も予測した。
余剰電力の買い取りや預かりなどのサービスを指す、国内の卒FIT電気市場は、2019年度は40億円程度としている。本格的な拡大は2020年度以降で、脱炭素化を図りたい企業などの増加などから再エネ電力の需要が増えるなどの影響が後押しし、2030年度には409億円まで拡大すると予測している。
ユーザー側が初期投資なしで太陽光発電を導入できるなどの特徴がある第三者所有モデルの2019年度の市場規模は、43億円程度を見込む(PPAモデル、リースの両方を含む)。これは2018年度比で2.9倍となる規模だが、2030年度には2018年度比92.1倍の1382億円に拡大すると予測した。
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