「アフターコロナ」とソーラーシェアリング、未来の持続可能性を見据えてソーラーシェアリング入門&〜番外編その2〜(1/3 ページ)

「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。新型コロナを受けての番外編の後半となる今回は、緊急事態宣言が発令される中で、千葉エコ・エネルギーはどのようにソーラシェアリングを運用しているのかといった“現在の働き方”を紹介するとともに、“アフターコロナ”の営農のあり方について考えます。

» 2020年05月11日 07時00分 公開

 前回は新型コロナウイルス感染拡大に対し、私が代表を務める千葉エコ・エネルギーが企業として進めてきたBCP対策や、リモートワークへの取り組みなどについて紹介しました。

 今回は、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を所有・運営し、自然エネルギーの供給と農業生産を自ら実践するという立場から現在の働き方を紹介するとともに、“アフターコロナ”の営農についても考えたいと思います。

コンサルティングと農業と

 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を受け、千葉エコは全面的に在宅勤務態勢に移行しました。その後も、千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機(千葉市緑区)を中心とした自社農場での農作業は続いています。例年ですと、この4月から5月にかけては会社全体が農繁期シフトになり、農業チームを中心にした作業に加えて通常はコンサルを主業務とするメンバーも、畑作業を手伝う頻度が増えます。

 まとまった人手が必要な農作業が発生する場合、事前に日程が社内チャットやメールで告知され、当日は社用車に乗り合わせるなどして現地作業に従事します。おおむね朝9時や10時頃から日没までが作業時間帯になり、暖かい時期のお昼時には、作業用ハウスの外にテーブルとイスを出してピクニックのような風景が繰り広げられます。こうした農作業日でも、顧客・案件対応などを作業用ハウス内でノートPCを使って行うこともあり、各自が自分の業務バランスを考えて取り組むようにしています。

 この点は千葉エコが、各自が求められる成果さえ達成できれば、その手段や過程は問わないというスタンスを取っているが故のスタイルです。

春先から行われる除草作業の風景

 コンサルティングにせよ農業にせよ、最終的にどのような成果を出せたかが重要であり、特に農業では農産物が収穫できても、“そこがゴール”ではありません。農産物を販売して現金化し、そこまでにかかった費用を回収して利益を得る――ここまで達成できることが成果です。

 夏の暑さや冬の寒さに耐えながらどれだけ農作業に従事したとしても、農産物を売ってお金になる、売れるだけの農産物として出来上がってくることがなければ、翌年の農業に取り組むことは出来ません。農産物に対するストーリー付けとして生産過程の苦労話などが評価されることはあっても、それだけではいずれ何の意味も残らなくなってしまうところは、コンサルティング業務にも通じるところがあります。

 ただ、全てのスタッフが大なり小なりソーラーシェアリングの運営を通じ、実際に農業に関わっていることで、日頃、他のソーラーシェアリングのコンサルティングに説得力を持って取り組むことができるという点も、千葉エコのユニークな点かもしれません。

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