宮城県気仙沼のソーラーシェアリング、地元の太陽光EPC企業が自ら運営する理由とは太陽光

宮城県気仙沼市の太陽光発電施工会社であるパートナーズが、自社運営を行うソーラーシェアリング発電所を開設。太陽光関連企業が自ら営農型太陽光発電に取り組む理由とは?

» 2020年05月29日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 千葉エコ・エネルギーは2020年5月、同社が事業化支援を行った、宮城県気仙沼市の太陽光発電施工会社パートナーズが自社運営を行うソーラーシェアリング(営農型太陽光発電設備)が完成したと発表した。発電所の名称は「気仙沼猪の鼻発電所」で、太陽光パネルの下では牧草(オーチャードグラス)を栽培する。

 この発電所はパートナーズが地元である宮城県気仙沼市において、自社で取り組む初のソーラーシェアリングとして企画したもの。栽培する牧草は、地権者でもある営農者が飼育する牛の飼料として生産を行うという。

 太陽光発電システムの設計・施工事業を手掛けるパートナーズが、今回自社でソーラーシェアリングを運営する背景には、電気エネルギーの自給に加え食エネルギーの自給にも取り組みたいと考えたことがあるという。これまで同社が手掛けてきた遊休未利用地を活用した太陽光発電事業では、農業適地であっても農業生産を難しくしてしまうケースもあった。そこで、発電と営農が共生し、電気と食の自給につながるソーラーシェアリングに取り組もうと考えたという。

 また、今回の事業が成立した背景として、営農者兼地権者に営農継続の意志があり、従来行われてきた農業が続けられることや、農大卒の新入社員が入社し、今回の事業を主として挑戦出来る人材が確保できたことなど、営農面や人材面での後押しもあったという。

 千葉エコ・エネルギーは今回のプロジェクトに対し、営農計画策定を含む一時転用許可申請を進めるに当たってのアドバイザリーサポートや、専門家として発電設備の下における牧草栽培についての営農意見書を発行した。

 発電所の耕作面積は1500m2。遮光率は37%、発電出力は49.5kW(AC)/85.8kWp(DC)となっている。設備設計は福島県飯館村にある牧草栽培ソーラーシェリングを参考に太陽光パネルを設置する各アレイ(架台)を独立させ、アレイ間の離隔距離を6m以上確保することで採光率を確保しつつ、営農の作業性にも考慮。施工面では、万が一採光が不十分で牧草の収穫量が著しく少なくなった場合にも、モジュールの間引きなどで改善出来るよう工夫を行っている。

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