多様化する「PPA」が再エネ導入を加速、自家消費を支える「蓄電池」にも新しい動き太陽光(1/3 ページ)

2050年カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーへの関心が高まっている。一方で、再エネ業界にはFIT依存からの脱却が求められ、新たなビジネスモデルの確立が急がれている。「スマートエネルギーWeek2021」に、再エネビジネスの新トレンドを探った。

» 2021年03月23日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 再生可能エネルギーに関する国内最大規模の展示会「第17回 スマートエネルギーWeek」が2021年3月3日〜5日、東京ビッグサイトで催された。長引くコロナ禍を受け、例年よりスペースを縮小して行われたが、全展合計628社が出展。会期3日間で、2万8345名(主催者発表)のエネルギー関係者が来場した。

 今回は、これまでの「PV EXPO(太陽発電展)」「WIND EXPO(風力発電展)」などに加えて「エネマネ・自家消費EXPO」が新設され、全7展での開催となった。エネマネ・自家消費EXPOは、電力の大口需要家に向けた展示会であり、脱炭素化を急ぐ企業ニーズに応えようとするものだ。

スマートエネルギーWeek2021会場風景 出典:リード エグジビション ジャパン

 固定価格買取制度(FIT)の終焉も近づき、再生可能エネルギーを取りまく事業環境は大きく変化した。発電した電気を売電して収益を得るよりも、自家消費に回して電気代削減やCO2削減に直接役立てようとする動きも加速している。

 自家消費を効率的に行うためには蓄電システムが必須だが、本展では、これまで蓄電池を扱ってこなかったメーカーからの製品発表も相次いだ。発電設備の新設に関しては、PPAモデル(第三者所有モデル)を自社のビジネスに結び付けようとする取り組みが目立った。自己託送や自営線など、送配電ネットワークに関わるビジネスにも新しい動きが出てきている。太陽光発電関連分野を中心にリポートする。

パワコンのファーウェイが、モジュールタイプの蓄電池を出展

 パワコンメーカーとしてトップシェアを誇るファーウェイは、最新の各種パワコンとともに、モジュール型の住宅向け蓄電池を展示して注目を集めた。先ごろJET認証を取得し、日本国内での販売を開始したばかりの「LUNA2000シリーズ」だ。

 本体はDC/DCコンバーターと蓄電池モジュール(1台5kWh)からなり、蓄電池モジュールは合計3台(15kWh)まで連結することができる。それぞれの蓄電池モジュールにパワーオプティマイザーが内蔵されており、充放電の最適化を実現。古い蓄電池モジュールと新しい蓄電池モジュールの併用も可能なので、家族構成やライフスタイルの変化に合わせて、後から増設することもできるという。奥行159mmという薄型ボディで、防水仕様になっているので、屋内屋外を問わず狭い場所にも設置可能だ。

ファーウェイの住宅向け蓄電池(左)とパワコン(中央)

 蓄電池に合わせて、同社初となる住宅向けのハイブリッドパワコン「SUN2000-4.95KTL-JPL1」も披露された。蓄電池との連携はもちろん、太陽光発電システムに起因する火災を未然に防ぐAFCI(アーク故障回路遮断)機能を搭載するなど、ファーウェイ独自の技術が凝縮された製品だ。

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