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» 2021年09月13日 07時00分 公開

単年の許可数は過去最高に、農水省の最新統計で見る「ソーラーシェアリング」導入状況ソーラーシェアリング入門(50)(2/2 ページ)

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]
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広がる「10年以内の一時転用」、許可要件は「担い手」が最多に

 2018年5月に、一部の条件を満たした場合に農地の10年以内の一時転用許可が認められるようになってから、事業スキームの安定化や融資獲得を目的に、この10年の許可条件の充足を目指す事例が増えてきました。今回の調査期間では、FIT制度における特定営農型太陽光発電はスタートする前ですが、おそらく今後はこの条件を満たす事例がさらに増えてくることになるでしょう。今回公表されたデータ(図2)では、その10年以内となる要件を満たす事例が整理されています。

図2 営農型太陽光発電設備の取り扱いの見直し(農林水産省農村振興局資料より)

 まず全体としては、40%近い事例が10年以内の許可要件を満たすものとなっており、実際に私が関わっている事例でも該当するものが多い傾向にあります。10年以内の一時転用許可は、3つの要件のいずれかを満たせば認められる仕組みですが、許可を受けた案件が満たしている要件の内訳をみると、担い手要件、荒廃農地要件、第2種・第3種農地要件の順となっています。充足するハードルが相対的に高いとされる担い手要件が最も多く、この点では農林水産省が企図する「安定した農業経営の実現」に資する方向に進んでいるともいえます。

まとめ

 許可件数全体では見立て通りの増加になりましたが、都道府県別の動向では伸びが大きい地域は予想外の部分もありました。しかしながら、東高西低の導入件数という傾向には変化がなく、この背景の分析と政策対応は今後の営農型太陽光発電の普及に際して大きなカギを握ると考えています。九州地方が低調なのは“九電ショック”以来の太陽光発電事業への抵抗感があると思われますが、近畿地方や中国四国地方の低調さが農業者や発電事業者の姿勢に起因するのか、地方自治体の施策なのか、あるいは系統制約などの要因なのかは検証が必要です。

 また、公表された分析データは経時的変化を追うために内容が毎年同じとなっていますが、例えば農地区分別のデータと事業規模の相関関係、栽培作物と担い手や荒廃農地再生といった要素の相関関係などが明らかになってくると、政策対応に向けた重要な基礎資料になると思います。

 大きな伸びを見せる営農型太陽光発電・ソーラーシェアリングの市場ですが、第6次エネルギー基本計画と2030年の気候変動対策目標に向かう中では、再生可能エネルギーのさらなる量の確保やゼロカーボンシティの増加のために、これらの従来実績の10倍以上の規模が毎年導入されていく必要があります。そのための貴重なデータとして、改めて分析をしてみたいと思います。

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