カーボンニュートラルへの挑戦

脱炭素を目指す先進企業の「GXリーグ」創設へ、排出量取引の導入も法制度・規制

経済産業省は2022年2月1日、脱炭素社会の実現に向けた先進的な取り組みを進める企業などで構成する「GXリーグ」の設立に向けて、その基本構想を発表した。構想に賛同する企業の募集も開始し、GXリーグの本格稼働に向けた準備を進める方針だ。

» 2022年02月07日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 経済産業省は2022年2月1日、脱炭素社会の実現に向けた先進的な取り組みを進める企業などで構成する「GXリーグ」の設立に向けて、その基本構想を発表した。構想に賛同する企業の募集も開始し、GXリーグの本格稼働に向けた準備を進める方針だ。

 GXリーグとは、脱炭素社会に向けた経済社会システム全体の変革(GX:グリーントランスフォーメーション)を積極的に取り組む企業群と官・学・金が協力し、GXの実現に向けた議論や、新たな市場の創造に向けた実践を行う場として設立するもの。今回発表した基本構想は、GXリーグの詳細設計の議論と、具体的な取り組みの実証を2022年度に進めていくための方向性をとりまとめている。

「GXリーグ」が目指すビジョン 出典:経済産業省

 基本構想ではGXの実現に求められられる重要なポイントとして、「1.企業自らの排出削減」「2.自らに関連するバリューチェーンへの排出削減への行動」「3.生活者が自ら能動的な選択できるようなGX市場の拡大」の3点を挙げている。GXリーグには、上記の3つのポイントに賛同する企業を募る方針で、参画企業に対しては3つの重点項目の実現に向けた積極的な取り組みを求める。

「GXリーグ」の参画企業に求めるポイント 出典:経済産業省

 同時にリーグの参画企業とともに、以下の3つの取り組みを推進する。

  1. 生活者にとってのカーボンニュートラル時代の未来像のあり方の議論
  2. 未来像を踏まえた、新たなGX市場形成のあり方(ルールメイキング等)の議論
  3. 社会での効率的な排出削減を行うための自主的な排出量取引の試行

 1つ目の取り組みでは、参画企業に加え、官学民の幅広いステークホルダーを含めたワーキンググループを構成し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた経済社会システムの移行像を検討する。2つ目の項目ではこの未来像を踏まえ、CO2フリー製品の表示の在り方など、GXに関わるさまざまな新市場の設計やルールを議論する。

 3つ目の取り組みでは、参画企業に対して削減目標に達しない場合、自主的な排出量取引の実施を促す。取り引きは、今後創設する「カーボン・クレジット市場」を利用する。同市場で、具体的にどのようなクレジットを流通させるのかなどを含め、具体的な制度の詳細は今後検討を進める。経産省では、こうした企業の自主的な枠組みによる排出量取引の進捗(しんちょく)がかんばしくない場合は、政府によるプライシング制度への移行も視野に入れるという。

 GXリーグの本格的な指導は2023年4月以降を想定している。経済産業省ではこれに向けて「GXリーグ設立準備事務局」を立ち上げるとともに、実証事業を2022年度に開始する準備を進める。賛同企業の募集締め切りは2022年3月31日まで。

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