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» 2022年05月13日 07時00分 公開

太陽光発電の「スマート保安」を推進する意義とは何か?法令違反を防ぐ太陽光発電の保安ポイント(4)(1/3 ページ)

昨今大きな課題になっている太陽光発電事業における法令順守や、適切なO&Mの実行に関するポイントを解説する本連載。今回は、前回に引き続き、今後の太陽光発電の新たな保全方法として注目されている「スマート保安」について解説します。

[増田幹弘 野原ホールディングス株式会社,ITmedia]

 前回の「太陽光発電も『スマート保安』の時代へ、その前に理解しておきたい保全業務の種類と違い」では、変化が進む太陽光発電における保全のポイントを紹介しました。

 今回は、今後広がるであろう太陽光発電の「スマート保安」についてより詳細に解説したいと思います。既にプラントなどを中心とした他分野の領域では、スマート保安の取り組みが始まっており、安全の向上とコスト削減の両立や、技術革新と仕組みづくりが進んでいます。これらの先行事例は、太陽光発電に活用できる知見もあるため、ぜひ取り入れるべきかと思います。

 一方、太陽光発電を含む電気設備のスマート保安については、2025年の本格普及を目指し、具体的な導入の道筋について官民を挙げた協議が進められている最中です。このため、今回の原稿は概念や理念的な内容となりますので、ご了承ください。

スマート保安の定義

 経済産業省によれば、スマート保安とは「国民と産業の安全の確保を第一として、急速に進む技術革新やデジタル化、少子高齢化・人口減少など経済社会構造の変化を的確に捉えながら、産業保安規制の適切な実施と産業の振興・競争力強化の観点に立って、官・民が行う、産業保安に関する主体的・挑戦的な取り組み」と定義されています。

 このなかで、私が重要だと考えるポイントは、次の通りです。

  • 十分な情報の取得や取得したデータの2次活用による科学的根拠とそれに基づく中立・公正な判断
  • IoTやAIなど、安全性と効率を高める新技術の導入や現場における創意工夫と作業の円滑化
  • 上記により、自主保安力の強化と生産性向上の持続的な推進を図り、規制・制度を不断に見直すことによって、将来にわたって国民の安全・安心を創り出す

スマート保安が目指すべき姿とは?

 今までの保安は「人間が前提」の保全体制でした。一方、スマート保安は高齢化社会及び慢性的な技術者不足に対応すべく、革新的な新技術の登場とさらなる進歩(IoT、センサー、クラウド、ドローン、AI、5G通信)を前提に、少ない人員や時間でも効果的な産業保安を実現する試みです。

 現在、その本格的な普及に向けて、官民が連携して、「1.スマート保安に向けた企業組織の変革」「2.情報の電子化(デジタル化)」「3.現場作業効率の向上」「4.意思決定の高度化」といったポイントの整理を進めています。

 これらの取り組みは、技術革新がなお一層進む中、新技術に対応した保安規制・制度の継続的な見直しを機動的かつ効果的に行うとともに、これらの技術の活用を企業に促し、安全性と生産性を向上しつつ、企業の競争力を高めることが目的です。

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