省エネ法が抜本改正! 再エネ活用を促す新たな制度も――事業者の対応は何が変わる?【後編】法制度・規制(1/3 ページ)

2022年5月に改正が決まった省エネ法の概要について解説する本稿。後編となる今回は、新たに義務付けられる計画・報告書への非化石エネルギーの利用目標およびその算定方法、自家発電再エネ電気の取り扱いなどについて解説する。

» 2022年06月20日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 前編では、2022年5月に改正が決まり、2023年4月の施行へ向けた制度設計が進められている省エネ法について、新たに盛り込まれる非化石エネルギーの取り扱いなどについて解説した。

 後編では省エネ法の対象となる特定事業者等が、国に提出する計画・報告書における非化石エネルギーの位置付けや、自家発電再エネ電気の取り扱いなどについて解説する。

計画・報告書に非化石エネルギーの利用目標を記載へ

 従来から特定事業者等は、省エネ法に基づき、「省エネ」に関する中長期計画書やエネルギーの使用状況等の定期報告を作成し、経済産業大臣に提出している。

 今後の改正省エネ法では、その計画書等の対象が非化石エネルギーへの転換へと拡大され、新たに非化石エネルギー利用割合の長期・短期目標等の作成・記載が求められる。

 具体的数値として、省エネ分野では一律に、原則1%以上(年平均)の低減が求められるのに対して、非化石分野では事業者ごとに自主的な目標を設定する。

 ただし計画・目標は、あくまで国が定める判断基準(目標年度2030年度)に沿ったものである必要がある。国は、業種別の非化石エネルギー使用割合の「目安」を提示する予定としており、現時点で情報入手が可能なエネルギー多消費産業等として、「1.鉄鋼業」「2.化学工業」「3.セメント製造業」「4.製紙業」「5.自動車製造業」の目安を設定し、その他の業種については、2024年度の報告を踏まえて順次設定していくこととする。

 ただし、2030年度に向けた目標そのものは、すべての事業者が設定することに留意願いたい。

表3.各業種の非化石エネルギー使用状況 出所:工場等判断基準WG

非化石エネルギー使用割合の算定方法

 改正省エネ法では、「非化石エネルギーへの転換」を「使用されるエネルギーのうちに占める非化石エネルギーの割合を向上させること」と定義している。よってエネルギー全体に占める非化石エネルギーの割合は、電気、熱、燃料を全て一次エネルギー換算(原油換算)することにより算出される。

図5.非化石エネルギー使用割合 算定イメージ 出所:工場等判断基準WG

 上記表2の例のように、燃料はその非化石該当の有無が分かりやすいといえるが、電気については、何がどの程度、非化石エネルギーとして扱うことができるのか、検討が必要となる。

 まず小売電気事業者から調達する電気については、図6の通り、【電気使用量(kWh)】【全電源平均一次エネルギー換算係数】を乗じ、【原油換算ベースの電気使用量(MJ)】を算出した上で、電気事業者から調達する電気の【非化石比率(メニュー別)】を乗じることとする。

 なお、FIT非化石証書売れ残り分の余剰非化石電気相当量(現在約12%)については、賦課金を負担している全ての需要家に、広く非化石電気が提供されているものとみなされる。よって、たとえ非化石証書使用割合が0%の小売電気事業者であっても、12%は非化石電気を使用しているとみなされる。

図7.系統電気 非化石電気の算定方法 出所:工場等判断基準WG
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