特定事業者が非化石(ここでは再エネ)電気を使用するには、上述のように小売電気事業者から購入する方法のほか、自家発電を行う方法がある。
現行省エネ法では、特定事業者自らの取り組みにより、工場等における省エネを推進することを原則としていることから、再エネ電気の使用においても、事業者自らが非化石電源投資をする取り組みを高く評価することが原則とされている。
非化石電気に関しては表4のように類型化される。このうち(1)〜(3)については、高く評価すべき取り組みとして、補正係数α(>1)をインセンティブとして乗じることとする。補正係数αの具体値として事務局は、1.2〜1.5程度とすることを提案している。
また特定事業者は、J-クレジット等の非化石価値を直接的に購入することも可能である。このため改正省エネ法では、非化石価値(kWh)を一次エネルギー換算係数(全電源平均)で原油換算し、非化石エネルギー使用量として加算することを認めることとする。
この対象は、国が関与する制度である、非化石証書(FIT由来再エネ)、J-クレジット(再エネ)、グリーン電力・グリーン熱証書に限定される。つまり改正省エネ法施行により、これらの証書・クレジットに対して、莫大な需要が創出される可能性がある。
現行の省エネ法では、電気需要の平準化(ピークカット・ピークシフト)を促すため、「電気需要平準化時間帯」(夏季7〜9月、冬季12〜3月の8時〜22時)に使用する電気については、使用量換算時に係数「1.3」を乗じて国に報告することとされている。
しかしながら近年では太陽光発電等の再エネ電源導入拡大により、電力が供給過多となることが発生しており、九州等の複数エリアでは再エネ電力の出力制御が実施されるなど、再エネ電気が活用できない事態も発生している。
需要家が「上げDR(デマンドレスポンス)」を実施することにより、需要を増加・シフトすることができれば、再エネの有効活用が進むと考えられる。
また逆に、厳冬などの電力需給逼迫時においては、需要サイドでの節電すなわち「下げDR」を実施することは、需給バランスを維持するための有効な対策の一つとなる。
よって改正省エネ法では電気需要の最適化を促すため、電気の需給状況の変動に応じて、電気の一次エネルギー換算係数を変動させる。
具体的には、
を使用する。
なお、「電気の需給状況が厳しい時間帯」とは、「広域予備率が8%未満かつ、エリア予備率8%未満」の時とすることが提案されている。よって、通常の「需給逼迫」とは定義が異なり(よって、用語も異なり)、改正省エネ法ではその一歩手前で、下げDRを促すこととなる。
また火力重み付け係数のαとは、従来の電気需要平準化評価係数と同様に「1.3」とすることが提案されている。
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