現在、供給力はEUE基準を満たしているにも関わらず、現実には需給逼迫が頻発していることから、供給信頼度評価の妥当性検証が開始され、以下4つの具体的な見直しの方向性が示されている。
先述の通り、現在の供給信頼度評価基準は従来の供給信頼度を引き継いだため、春季(3月〜6月)・秋季(10月〜11月)の予備率は、H3需要の7%のみが考慮されている。
現実には、2022年3月22日や6月27日〜30日の「春季」に、東京・東北エリアにおいて厳寒・猛暑による需給逼迫が発生しているため、新たに春季・秋季にも厳気象・稀頻度リスクを考慮し、例えば予備率を10%に変更することが考えられる。
この場合、春季・秋季の供給力が増加することとなり、現状の信頼度基準0.048kWh/kW・年が見直されることとなる。
どのような電源も補修や点検等のために一定の停止期間が必要となるため、供給力評価においては、一定の計画停止量が考慮されている。
ところが昨今の需給逼迫では、発電事業者に多くの補修停止計画の再調整を求めている状況であり、年間計画停止可能量および、それを賄うための追加設備量の見直しが必要とされている。
現在のEUE算定においては、2019年度供給計画の計画停止量を参考に、年間計画停止可能量29,922万kW・月(月換算1.90カ月)を確保するための追加設備量が算定されている。設備追加量は、716万kW(2019年度年間H3需要の+4.5%)である。
この年間計画停止可能量は、H3需要を元に算定しているが、実運用ではH1需要にも対応する供給力を確保すべく、補修計画調整を行う必要があるため、実態としては年間計画停止可能量1.9カ月が確保されていないと考えられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.