新しいレベニューキャップ制度のもと、現行制度の料金原価との比較とした、北電NWの事業収入見通しは図6のとおりである。
金額は一般送配電事業者各社により当然異なるが、その増加要因や減少要因は他の一般送配電事業者でも北電NWと同様である。
再エネ連系量拡大への対応や高経年化設備の更新、レジリエンス強化、調整力の確保などが増加要因であり、効率化等による削減ではカバーしきれず、全体として106億円の増加となっている。
このような事業収入見通しに基づき、現行の省令に基づき、各社の1kWh当たりの平均収入単価を試算したものが表1である。費用の増加および販売電力量の減少(沖縄を除く)の両方の効果により、全社で単価は大きく上昇する。
なお各社は今後の査定等を踏まえて、あらためて託送料金認可申請を行う予定であるため、これは一定の前提を置いた試算値であることに留意願いたい。
各社により金額は大きく異なるものの、中部電力PGを例とした、電圧別の収入見通しは図7のとおりである。
一般送配電事業者の収入は、人件費や委託費等のOPEX(operating expense)、送配電設備投資関連費用等のCAPEX(capital expenditure)等に分類される。
九州電力送配電の場合の、収入の見通しの内訳は表2のとおりである。通常、OPEXのうち最大の費用項目は人件費であるが、各社とも人員の減少により人件費は減少すると同時に、委託費は増加する傾向となっている。
なお今回、全社で大きく増加している費用は、調整力の調達費用である。従来、一般送配電事業者は調整力公募により調整力を調達してきたが、今後は需給調整市場(三次?:2022年度〜、一次〜二次:2024年度〜)が順次開始される。
一部の調整力(ΔkW)費用について、従来は実際の発動に応じた事後精算であったものが、今後は発動の有無に関わらず事前に確定するという制度変更のほか、燃料費高騰等により調整力単価が上昇していることが主な増加要因とされている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.