再エネ大量導入小委員会では、蓄電池併設による需給バランスに応じた再エネ電力の供給タイミングのシフトを促す観点や、FITからFIP制度への移行を促す観点から、事後的な蓄電池の設置による価格変更ルールを、以下のように見直すことを提案している。
FITからFIPへの移行案件が事後的に蓄電池を設置した際、発電設備の出力(PCS出力と過積載部分の太陽電池出力)と基準価格(蓄電池設置前価格と「十分に低い価格」)の加重平均値に価格変更する。具体的な価格は、調達価格等算定委員会で決定されることとなる。
図3は、FIT調達価格20円/kWh、過積載率120%のFIT認定設備に蓄電池を設置してFIP制度に移行する場合の、新たなFIP基準価格の算出イメージである。
誤解なきよう念のため、太陽光パネルから蓄電して蓄電池から売電可能な電力はオレンジ色の部分だけでなく、赤色の部分もすべてが対象となる。
よって、蓄電池の容量次第ではあるが、市場価格が0.01円/kWhの昼間帯には全量を充電し、市場価格が高くなる点灯帯(例えば30円/kWh)に売電することが可能となる。
FIP制度においては、基準価格と参照価格の差分を「プレミアム」として受け取ることになるが、売電単価(=売電収入)そのものは、発電事業者の努力により増大させることが可能である。よって売電のタイムシフトは、発電事業の採算性を向上させることとなる。
この売電タイミングのシフトは、系統の需給バランスを平準化させ、市場価格の極端な変動を緩和させる効果も期待される。
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