どのような製品も、川上の製造から輸送等を経て、川下の需要家による利用を含めてサプライチェーンが成り立っている。
よって水素等サプライチェーン構築支援対象としては、①水素・アンモニアの供給者を直接支援する方法と、①水素・アンモニアの需要家の購入費を支援することで間接的に供給者を支援する、という2つの方法が存在する。
水素等の大規模投資リスクを負うのは供給者であることや、供給者側で複数の需要家を束ねることが期待されることから、支援制度では水素・アンモニアの供給者側を支援することとした。
水素・アンモニアは、その燃焼段階ではCO2を排出しない脱炭素燃料と位置付けられるものの、ライフサイクル全体で見た場合には、その原料や製造工程、輸送等により、CO2強度(CO2排出量の多さ)は異なる。
このため欧州や米国など諸外国では、水素等に伴うCO2排出に関して閾値を厳格化する方向性が示されている。
例えばEUでは、ライフサイクルCO2排出量を化石燃料由来燃料より73.4%の削減を求めており、米国では支援策(税控除)の対象として、CO2強度により支援額を増減させている。またオーストラリアでは国家水素戦略において、水素の原産地証明制度の構築を優先事項として明記しており、国際的スキームを目指して、認証等の試行を予定している。
今後日本の水素・アンモニア関連技術が国際競争力を確保し、製造・輸送・利用される水素・アンモニアが国際サプライチェーンで取引されるためには、国際的に遜色のないCO2閾値を満たす必要があると考えられる。
このため、少なくともサプライチェーン構築支援対象案件に対しては、水素・アンモニアの需給拡大におけるコストとのバランスも勘案しつつ、一定のCO2閾値への適合を求めることとする。
詳細な制度設計は今後の課題であるが、海外から水素・アンモニアを調達する場合は、生産地の基準もしくは国際基準等を元に、Well-to-Gate(原料採掘から水素製造まで)のCO2排出量を算出・報告することが想定される。
また需要家に向けて、当該水素・アンモニアがどのように環境負荷を低減しているか等を積極的に示していくことも期待される。
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