矢野経済研究所が定置用蓄電池(ESS)の世界市場に関する調査結果を発表。カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギー電源の増加を背景に、2031年の定置用蓄電池(ESS)世界出荷容量は458GWhに拡大すると予測している。
矢野経済研究所は2022年9月14日、定置用蓄電池(ESS)の世界市場に関する調査結果を発表した。それによると、カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギー電源の増加を背景に、2031年の定置用蓄電池(ESS)世界出荷容量は458GWhに拡大すると予測している。
2021年の定置用蓄電池の世界市場は、容量ベースで前年比89.2%増の6万888MWh、金額ベースで同78.2%増の279億9700万米ドル(ともにメーカー出荷ベース)になると予測した。
設置先(需要分野)別にみると、2021年は日本や欧州地域を中心にFIT価格の下落や、電気料金削減を目的とする太陽光発電電力の自家消費ニーズ拡大、政府の設置補助制度等が追い風になり、ESSを導入する家庭が増加。また、米国においては自然災害や異常気象などによる停電が頻発しており、非常用電源のニーズから家庭用ESSの導入が増えているという。
電力系統用ESSにおいては電力網の老朽化や、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い電力需給バランスが不安定となる対策として、北米や欧州、中国市場向けのESS導入が市場をけん引している。
2022年は、猛暑や寒波などの異常気象により電力需要が上昇している中、地震や台風、火災などの自然災害などで不安定な電力需給バランスが続いている。さらにウクライナ情勢の影響を受けてエネルギー価格が世界的に高騰しており、電力の安定需給に対するニーズは一層高まっている。
このような背景から、2022年は更にESSの導入拡大が見込まれ、2022年のESS世界市場は出荷容量で前年比157.4%の9万5835MWh、出荷金額が同160.7%の449億8400万米ドルと推定している。
さらに今後については、さらなる再生可能エネルギーの導入拡大や、ESSのコスト削減などが進み、導入はさらに加速すると見通している。その結果、2031年のESS世界市場は出荷容量は2021年比で約66.5倍の45万7880MWh、出荷金額は1734億4600万米ドルまで成長すると予測している。
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