ローカル系統に限らず一般送配電事業者は、発電契約者から提出される発電計画や再エネ(自然変動)電源の出力予想、需要想定を基に、常に系統の潮流想定を行っている。そこで系統混雑が発生すると予想される場合、必要な電源を出力制御することにより、系統混雑を解消している。
今後のローカル系統の新たな混雑管理方式としては、以下のようにノンファーム電源を一律に出力制御することが提案されている。
この方式では系統混雑時に、30分毎の出力制御が必要な総量をノンファーム電源に対して発電計画値の比で配分し、一律に出力制御値が配信される。発電契約者は、ノンファーム電源の出力制御量に合わせて自身の発電計画を修正することが必要となる。
よってローカル系統ノンファーム電源一律制御において、出力制御により必要となる代替電源調達等の混雑処理に関する費用は、ノンファーム電源の発電事業者が負担することとなる。
これが、基幹系統の再給電方式では、発電契約者は発電計画の変更(修正)が不要であることと異なる点である。(よって発電契約者は、混雑処理に関する費用負担が不要)
混雑費用が発電事業者の負担となることは、発電事業者に対して、混雑系統への電源建設を避けるインセンティブを与えることとなる。
いたずらに混雑系統への集中を避け、まだ空き容量のある系統への立地誘導効果を発揮することは、一律制御方式のメリットの一つと考えられている。
なおノンファーム型接続適用電源(ノンファーム電源)は、系統混雑に際して確実に出力が制御されるよう、オンライン出力制御機器の設置が必要となる。
ところが一部の小水力発電・バイオマス発電では、出力制御機器の開発が未了であることが資源エネルギー庁事務局から報告されている。出力制御機器が無いために系統に接続できないことは、迅速な系統接続を目的としたノンファーム型接続の趣旨に反することとなる。
このため、当面は系統混雑が見込まれない系統への接続においては、出力制御機器の設置に関して一定の猶予期間を設けることなどが検討される予定である。
今回提案のノンファーム電源一律制御方式の場合、既設のファーム電源は出力制御の対象外となり、既設電源がリプレースされるとその時点で制御対象となる。
メリットオーダーに反する電源稼働が長期間継続することは、社会費用効率的とは言えない。
このため既設電源に対しては、一定の経過措置期間を与えたうえで、将来的に等しく制御対象とすること等について、今後の検討テーマとされている。
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