改正省エネ法では、従来型の「減らす」省エネだけでなく、エネルギー(電気)の需要の「最適化」、すなわちデマンドレスポンス(DR)が求められている。
今後、省エネ法の特定事業者はその定期報告において、「電気需要最適化評価原単位」を乗じることにより、電気使用量を報告することとされている。
さらに、DR(上げ・下げ)の実施回数やDR量(kWh)についても評価し、DR実績の優良事業者名を公表することや補助金での優遇等のインセンティブを付与することとしている。
他方、家庭の一般消費者に対しては、省エネ法で直接的に規制/評価できるわけではない。よって国は「節電プログラム促進事業」を通じて、小売電気事業者等が実施する節電プログラムによるポイントを上乗せする等の支援を行う。
「指定時型(kW)プログラム」と「月間型(kWh)プログラム」の双方がこの対象となり、家庭のDRが促進される。
DXが喧伝される現代、家庭のDRもデジタル技術で自動的に実施されることが効率的である。例えばすでにオーストラリアでは、家電のDR対応化策として、家庭用のエアコンや給湯器、EV充電器等に対して、DR対応機能の搭載を義務化している。
日本ではHEMS対応家電がこれに近い機能を持つと思われるが、現時点、HEMS対応家電の普及は限定的である。
オーストラリアでは、この規制の費用対効果を分析し、効果が費用の約3倍となることを確認しており、まずは日本でもこのような試算の実施が求められる。
また産業競争力の観点からも、日本企業がこの分野のルール作りや技術開発で先行することが期待されている。
すでにエアコンや電気温水機器はトップランナー制度の対象機器であるが、今後はDR機能をトップランナー制度に取り込むことに関して、省エネルギー小委員会のワーキンググループで検討が進められる予定である。
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