今後の省エネ政策はどう在るべきか――国内外の省エネの現状と対策法制度・規制(1/4 ページ)

脱炭素政策だけでなく、経済政策やエネルギーセキュリティ確保の観点からもその重要性が増している「省エネ」。2022年11月上旬に開催された「省エネルギー小委員会」第37回会合では、日本の今後の省エネ政策の在り方や方向性が議論された。

» 2022年11月17日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2022年5月に改正省エネ法が成立し、2023年4月の施行に向けた詳細制度の検討が進められている。足元のエネルギー価格高騰を受け、今や省エネは脱炭素政策の観点だけでなく、経済政策やエネルギーセキュリティ確保の観点からも、一層その重要性が増している。

 資源エネルギー庁の「省エネルギー小委員会」第37回会合では、国内外の省エネの現状や今後の省エネ政策の在り方等について議論が行われた。

国際比較で見る日本の省エネの進捗状況

 省エネの進捗を比較する基準はさまざまなものがあるが、IEAの「Energy Efficiency Market Report 2022」によれば、日本のエネルギー消費原単位はG20参加国において比較的上位に位置すると評価されている。ただし、近年はその改善率は低下している。

図1.2020年のエネルギー原単位 G20各国比較 出所:省エネルギー小委員会

 またACEEE(米国エネルギー効率経済評議会)の「国際エネルギー効率スコアカード」では、日本は総合ランクで7位(25カ国中)と評価されており、部門別に見れば産業部門は1位であるものの、建築部門は16位とされている。

図2.ACEEE による国際比較 出所:省エネルギー小委員会

海外のエネルギー価格の高騰

 日本の電力価格は過去1年で家庭用は約22%、産業用は約34%と大きく上昇しているが、欧州では桁違いの価格高騰が生じている。

 ドイツでは産業用の電気料金は15倍、ガス料金は10倍になると報道されており、企業の生産活動に深刻な影響を与えている。

 また家庭部門では、英国の例として光熱費は2019年と比べて倍増しており、省エネ性能の低い住宅ほど、増加額が大きいことが報告されている。省エネ性能がGランク(最低)の住宅の場合、年間光熱費は7,000ドル以上(100万円程度)に上ると試算されている。

 このため欧州各国では、省エネ住宅リフォームやヒートポンプ導入に対する補助金や減税等の支援策を拡大している。

図3.英国 住宅の省エネランク別の光熱費増加 出所:省エネルギー小委員会
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