2023年4月から連系開始!ローカル系統の「ノンファーム型接続」の制度概要原則全ての電源にノンファーム型が適用に(2/4 ページ)

» 2023年03月09日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

ノンファーム型接続に伴う出力制御機器

 ノンファーム電源は、系統混雑時に確実に出力を制御することが重要であるため、一般送配電事業者からオンラインにて出力制御を行える機器の設置が必要となる。このため一般送配電事業者は、系統に接続する電源の出力制御機器の技術仕様書を公表している。

 例えば、東京電力パワーグリッド社の出力制御機能付PCS等技術仕様書(抜粋)は表2のとおりである。技術仕様書では、100%から0%で出力を変化できることに加え、100%/(5〜10分)の変化率に対応できることを求めている。

 ただし既存の技術仕様書は、主に太陽光・風力を対象とした記載になっており、その他の電源種(水力、バイオマス、地熱)の特性を踏まえた仕様となっていないことが問題視されていた。

表2.東電PG 出力制御機能付PCS等(66kV未満)技術仕様書 出所:東電PG

水力、バイオマス、地熱の出力制御

 太陽光のようにPCSで制御する電源は、比較的高速に、精度よく出力制御することが可能であるのに対して、水力、バイオマス、地熱の3つの電源種は、その発電の特性上、出力変化率が遅いなどの技術的な課題がある。

 このため水力等3電源種の発電機器メーカーや発電事業者は、技術仕様書の改定や要件の緩和を要望してきた。この要望を受けて、一般送配電事業者では、太陽光・風力を対象とした記述を、他の電源種も読み取れる図や表現へ見直すこととした。

 また、バイオマス等の電源種は太陽光とは異なり、一定の所内負荷があることが基本形である。このため仕様書の改定により、自家消費分までは制御しないことや、受電点における逆潮流の出力上限値を制御対象とすることを明確化する。

図3.技術仕様書の改定のイメージ 出所:送配電網協議会

 またバイオマス発電(循環流動層)においては、出力を100%から50%に下げるための所要時間は約90分程度と言われており、応動が間に合わない(制御量が不足する)ことも懸念される。このため、前日や1+α時間前に配信する予見値を踏まえて先行的に出力を変化させることを許容するよう、仕様書を改定することとした。

図4.バイオマス等の先行制御イメージ 出所:送配電網協議会

ノンファーム電源の出力制御の確実性の観点では、一般送配電事業者によるオンライン自動制御が原則とされるが、急速な出力抑制による「失火」等のおそれから、人間系による手動制御を認めるよう要望されていた。

 一般的に、66kV以上の発電設備は数十MW〜数百MW程度の規模であるため、人手を介することにより出力制御量が不足する場合、系統運用リスクが大きくなる。

 このためノンファーム電源では、66kV未満のインターネット回線に限って手動制御を許容することとして、その場合、24時間有人による常時監視や、運営体制表提出や運用申合書等の締結等を条件とする。

図5.ノンファーム接続において手動制御を認める範囲 出所:送配電網協議会

一般送配電事業者は、技術仕様書を2023年5月に改定する予定である。

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