2023年4月から連系開始!ローカル系統の「ノンファーム型接続」の制度概要原則全ての電源にノンファーム型が適用に(1/4 ページ)

既存の送配電設備を効率的に利用しながら、速やかに新規電源を系統接続するための施策として導入された「ノンファーム型接続」。既に基幹系統では接続がスタートしているが、2023年4月からローカル系統においてもその適用がスタートする。

» 2023年03月09日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 再エネ電源の導入拡大のためには、送配電設備の増強が必要となるが、これには長い工事期間と膨大な費用が伴う。このため既存の送配電設備のキャパシティを生かして、速やかに新規電源を系統に接続させるため、「ノンファーム型接続」の取り組みが進められている。

 2021年1月以降、基幹系統を対象としてノンファーム型接続の受付が開始され、その適用対象は順次拡大されており、2022年9月末時点で4,358万kWの接続検討の申し込み、504万kWの契約申し込みが行われている。

 またローカル系統については、2023年4月からノンファーム型接続の受付が開始される予定である。これにより、10kW未満の低圧電源を除いては、原則すべての新規電源にノンファーム型接続が適用されることとなる。

図1.ノンファーム型接続の適用系統・電源等 出所:系統WG

ノンファーム電源の制御方法

 系統増強工事を行わず、新規電源を接続させるノンファーム型接続においては、一定の系統混雑が発生することが不可避となる。送変電設備の設計値以上に電気を流すことを避けるため、系統混雑の発生が見込まれる場合には、いずれかの電源を出力制御することが必要となる。このため、既存のファーム電源を含め、どのような電源を対象にどのような順序で出力制御を行うかのルール設定が重要となる。

 まず基幹系統においては、メリットオーダーに基づく再給電方式(一定の順序)により混雑処理が行われる。つまり、燃料費を要する(限界費用の高い)火力電源は、限界費用ゼロの変動性再エネ電源よりも先に出力制御(抑制)されることとなる。ただし、エネルギーの「S+3E」の原則どおり、経済性だけでなく安定供給や環境性も考慮される。

 ローカル系統においてもまずは、基幹系統と同じく、メリットオーダーに基づく再給電方式による出力制御を基本とする。

表1.再給電方式(一定の順序)による出力制御順序 出所:再エネ大量導入小委

 しかしながらローカル系統や配電系統は、基幹系統と比べて火力等の調整電源が少なく、非常に多くの再エネ電源が接続するという特徴を持つ。このためシステム開発費用等の観点から、ローカル・配電系統では実需給断面での出力制御ではなく、計画断面での計画値変更による出力制御を採用した上で、ノンファーム電源を一律に制御する方式とする。

図2.ノンファーム電源の計画値変更による出力制御 出所:広域機関

 系統混雑の発生が予想される場合、一般送配電事業者は発電事業者に対して出力制御値をオンラインにて3回配信することとなる(1.翌日発電計画提出後、2.実需給の1+α時間前、3.実需給の1時間前)。

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