太陽光パネルは「N型」が主流に、次世代モジュールの覇権争いが本格化太陽光(2/3 ページ)

» 2023年04月24日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

チントソーラー/量産化で先行。生産比率を年内にも60%超へ

 チントソーラーも、182mm角のN型TOPConセルをいち早く採用したメーカーの1つだ。N型TOP Conモジュールの“量産化”においては他社の多くに先んじており、P型との価格差を最小に抑えることで、発電量あたりのコストパフォーマンスをこれまでになく高いものに仕上げている。

 同社は、N型モジュールを「ASTRO N」の名称で販売。マルチバスバー、ハーフカットセル、非破壊ダイシングなどの技術と組み合わせることで、いっそうの高出力を実現しているとする。ラインアップやサイズも豊富で、景観を重視したオールブラックタイプや重塩害地域にも安心な両面ガラスタイプなど、メガソーラーから工場屋根上、住宅用までニーズに合わせて最適なN型モジュールを選ぶことができる。

 同社では、2023年中には生産するモジュールの60%を、2025年には90%をN型に切り替えていく計画を立てる。「低コストを維持しながらも、トータルの発電量をより多く得られるよう、N型製品をいっそう拡充していくとともに、設置場所や設置方法、運用のあり方も含めて幅広くご提案させていただきます」とCHINT NEW ENERGY TECHNOLOGYのCMOである張氏は述べている。

トリナ/210mmセルをトリプルカットして全パワコンに対応

 トリナソーラーは、同じくN型TOPConへのシフトを図っているが、ジンコソーラーやチントとは異なり、さらに大型の210mm角セルを採用している。セルの大型化は、最終製品である太陽光パネルの大型化・高出力化に直結し、LCOEの低減にも大きく貢献するという。

 ただ一方で、パネルの高出力化にともない動作電流(最大出力電流)も大きくなってしまい、従来のパワーコンディショナでは十分に対応できないという弊害も出てきていた。とくに国産パワコンでこの傾向は顕著であり、これが210mmセルを採用するパネルメーカー共通の課題ともなっていた

 トリナでは、こうした状況を踏まえ、高出力でありながら、電流値を国産パワコン適合レベル(11A以下)に抑えたN型TOPCon“トリプルカット”セルを実用化した。1枚のセルを3つに分割することで、電流値を飛躍的に下げることが可能になったのだという。

 さらに、210mm角セルを縦長にカットし、210mm×182mmに仕立てた特殊なセルによるモジュールもラインアップする。設置スペースが限られた屋根上向けに展開していく考えだ。

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