太陽光パネルは「N型」が主流に、次世代モジュールの覇権争いが本格化太陽光(3/3 ページ)

» 2023年04月24日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]
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ライセン/N型HJTを追求し、700W時代を拓く

 ライセンエネルギーは同じN型でありながら、これまで紹介した3社とは別の技術、N型HJT(Hetero Junction technology)を中核に据える。N型HJTモジュールは表裏対称の構造であるため、裏面の発電効率にも優れており、これまでにない高次元の両面発電が可能であるという。また、温度係数が低いという構造上の特性をもつため、同じ出力でも、より大きな発電量を得ることができる。さらに、同社独自の封止技術により、年間劣化率を0.25%に抑えている。

 同社は2019年からN型HJTモジュールの開発・生産を行っており、2020年・2021年時点でN型HJTモジュール出荷実績世界No.1となっている。ただ、それらの製品は158mmセルを使ったものだった。一方、現在展開している「Hyper-ion」シリーズには210mmセルが採用されており、700W超の大出力を実現するとともに、キロワット時あたりのコストをより効果的に削減することができるという。

ロンジ/N型開発先行するも、P型を継続強化

 近年急速にモジュール出荷量を伸ばし、ここ3年は連続して世界トップだったロンジ。同社は、他の大手メーカーとは異なり、当面は引き続きP型モジュールを前面に打ち出していく。先ごろ発表された新製品「HI-MO6」もP型セル(182mm)を採用したものであり、HPBC(Hybrid Passivated Back Contact)という新技術により、変換効率のさらなる向上と高出力化を実現している。

 同製品は、セルの表面にバスバーなどの配線がなく、太陽光の取り込みを最大化できる。配線は裏面側で一直線になっていることから、配線によるセル端部への応力が減少し、長期信頼性も向上している。さらに、太陽光の入射角が低い場合や低照度の場合でも、発電性能の低下が相対的に少ないのだという。同社は、これからも実績あるP型セルの可能性を追求し、いっそうのシェア拡大を図っていく構えだ。

 とはいえロンジは、2021年4月にN型TOPConの変換効率25.09%という世界記録(当時)を打ち立て、同6月にはN型HJTにおいて変換効率25.26%の新記録(当時)を樹立している。TOPCon、HJTいずれにおいても、最先端の研究開発を続けてきているのだ。

 同社の今後の動きを含め、新たな技術革新により、パネルメーカーの勢力図がどのように変わっていくことになるのか注目される。

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