今後日本でもさらなる普及が期待されているEV.一方、その普及に欠かせないのが充電インフラだ。政府は新たな検討会を設置し、今後の国内におけるEV向け充電インフラ整備の指針となる、新たなロードマップの策定を開始した。
自動車分野のカーボンニュートラルの実現に向けて、EVの普及が期待されている。国は、2030年における乗用車新車販売台数のうち20〜30%をEV・PHEV(プラグインハイブリッド)に、2035年には乗用車の100%を電動車(※)とする目標を掲げている(※電動車=EV・PHEVのほか、FCV(燃料電池自動車)、HV(ハイブリッド車)を含む)。
EVの普及のためには、充電インフラの整備をバランスよく進めていくことが必要であり、グリーン成長戦略では、公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを 15万基設置することにより、遅くとも2030年までにガソリン車並みの利便性を実現することを目標として掲げている。
このため経済産業省は、利便性が高く、中長期的にサステナブルな充電インフラの整備に向けた課題解決を目的として、「充電インフラ整備促進に関する検討会」を設置した。検討会では、多数の事業者や業界団体等に対するヒアリングを行い、2023年9月頃にロードマップを策定することを予定している。
EV充電器は、普通充電器と急速充電器に大別される。普通充電器は出力が低く(10kW未満)、数時間〜半日をかけて充電するのに対して、急速充電器は30分程度の短時間で充電が可能である。
設置費用は、普通充電器では数万円〜数十万円であるのに対して、急速では350万円〜数千万円(工事費含む)に上るほか、電気料金の基本料金や保守等のメンテナンス費用も高額となる(年間100万円〜)。
EV等は移動を目的としており、それぞれの場所での滞在時間も異なることから、充電器については自宅等での普通充電と、目的地や移動経路での急速充電を組み合わせた「重層的な充電インフラ整備」が重要とされている。
公共用の充電設備は全国で約3万基であり、次第に急速充電器の比率が高まりつつあるが、その総数は近年、頭打ちとなっている。これは特に普通充電器において、稼働率が上がらない中、維持費用がかさむため、設備更新を行わずに撤去されるケースが生じているためである。
現在、普通充電器の多くは商業施設(総設置数のうち55%)や自動車ディーラー(同33%)に設置されているのに対して、急速充電器の44%は自動車ディーラーに設置されている。
北海道や東北などでは、充電器のない空白地域が残されているなど、地域によって充電器の整備状況が異なる。
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