日本は諸外国に比べて揚水発電所が多く、全国で49カ所、約2,700万kW程度の設備容量を持つ。また、通常1週間単位で池水位を管理しており、今後の同時市場においても、他の電源(24時間以上の起動時間がかかる電源)と併せて、週間運用することも検討されている。
他方、系統規模が日本とほぼ同じ米国PJMにおいては、揚水発電は5台しかなく、池水位管理に伴うSCUC計算対象は24時間と短い設定であるにも関わらず、計算の負荷が大きいことが課題とされており、準最適化(最適解から乖離するものの計算時間が大幅に短縮)の工夫等がなされている。
49カ所の揚水発電を週間運用する日本においては、計算負荷がケタ違いに大きくなることが予想されるため、最適化ロジック検討においては一定の割り切りを許容するなど、実運用可能なロジックとなるよう検討していくことが必要となる。
現行の需給調整市場においては、調整力を一次〜三次②の5つの商品に細分化しているが、このうち一次〜三次①については各商品の不等時性を考慮して、複合約定させることにより、調達量合計の低減を図っている。
しかしながら、計算負荷が高いために制限時間内に約定計算処理が終わらないケースが発生しており、準最適解を用いるなどの対策が講じられている。今後の同時市場におけるkWhとΔkWの同時最適化において、計算負荷は一層高まると予想されることから、調整力の定義(細分化対象の見直し)も含めて、対策を検討していくことが必要となる。
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