需給調整市場の一次調整力商品、応動時間を拡大した「スカウティング枠」を導入へ応動時間要件を30秒に緩和(2/4 ページ)

» 2023年10月03日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

自家発DSRの環境負荷の判断

 スカウティング枠では、脱炭素調整力となり得るリソースの発掘を目的の一つとしているため、DSRのうち、環境負荷の大きい自家発DSRを除外することが検討されている。

 小委員会では、自家発DSRにおける発電設備の電源種別および燃料・発電方式等が「長期脱炭素電源オークション」の対象電源に該当する場合、環境負荷の小さい自家発DSRとして、スカウティング枠に適合すると判断する案が示された。(※LNG専焼火力は除く)

 オブザーバーからは、ガスを燃料とする燃料電池についても、移行期における低炭素調整力としてスカウティング枠で認めるよう要望があり、その他のリソースについてもスカウティング枠の適合性を検討することとした。

図4.自家発DSRの環境負荷の判断 出典:需給調整市場検討小委員会

 なお、受電点以下(需要家構内)に複数の発電設備(自家発DSR)が存在し、一つでも当該電源に該当しない発電設備が含まれる場合は、環境負荷の小さい自家発DSRと言い切れないことから、スカウティング枠への参入は認められない。

蓄電池の参加条件

 一次調整力のオフライン枠・スカウティング枠の対象と整理された蓄電池であるが、本来、蓄電池は将来の脱炭素調整力の主役として、一次調整力のみならず、全ての調整機能の具備やオンライン機能の構築が期待される。

 ところが、蓄電池を無条件で、要件緩和されたスカウティング枠に参入可能とするならば、逆に一次調整力以外では蓄電池調整力の導入が阻害されることも懸念されるため、蓄電池のスカウティング枠参加条件について検討が行われた。

 蓄電池は表3の分類のように、充放電出力電力の計測位置(受電点/機器点)や、蓄電池容量(1,000kW以上/未満)の違いにより、需給調整市場への参加方法が異なる。

表3.需給調整市場における蓄電池の参加方法 出典:需給調整市場検討小委員会

 表3のNo.1やNo.2のようにDSRやアグリゲーションで参加する蓄電池は、専用線構築の費用負担がかなり大きくなることから、現状のオフラインでの参加を許容する整理と同じく、スカウティング枠へ参加可能とすることが合理的である。

 No.3のように単独で需給調整市場へ参加可能な蓄電池については、蓄電池に対してオンライン化を求めるか否かが論点となる。

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