改正電気事業法の施行に伴い、2023年4月以降、大型の系統用蓄電池は「発電事業」と位置づけられ、需給バランス制約による出力制御の発生時には、発電機の出力抑制と同様に放電を抑制することが求められる。
このため、系統用蓄電池の系統連系に際しては、系統連系技術要件として電圧階級に応じた制御機能を具備する必要がある。
なお一般的に電圧階級ごとの設備容量として、特別高圧は「契約電力2,000kW以上の大規模施設」、高圧は「50〜2,000kWの施設」、低圧は「50kW未満で一般家庭や商店」が対象とされている。
表4のうち、専用線における出力制御機能は需給調整市場において求めているオンライン制御機能と同義である一方、インターネット回線での出力制御機能については、需給調整市場において求めているオンライン制御機能(専用線・簡易指令システム)とは異なるため、調整力運用としては「オフライン」と同義になる。
また、長期脱炭素電源オークションにおいては、当該オークションに参加可能な蓄電池(設備容量10MW以上)に対しては、全ての調整機能を具備することを求めると同時に、専用線を設置することが要件とされている。
以上より、一定規模以上の系統用蓄電池についてはすでに他制度においてオンライン化が求められているため、オフラインを許容するスカウティング枠で新たに対象とすべき蓄電池とは、実質的に「設備容量が1MW以上10MW未満、かつ電圧階級が特別高圧(一部の22kV等)・高圧」の蓄電池にほぼ限られることが分かる。
なお、1MW未満の蓄電池については先述の表3のとおり、アグリゲーションによりスカウティング枠に参加可能である。
「スカウティング枠」という名称は、この検討が開始された際に暫定的に呼ばれたものであり、今後の制度定着を見据えると、誤解を生じないような名称とすることが望ましい。
スカウティング枠とは、実質的に現行の一次調整力オフライン枠における応動要件のみを10秒から30秒に緩和した枠組みである。
オフライン枠とスカウティング枠が別の枠組みであると誤解されないよう、スカウティング枠の導入後(オフライン枠の応動要件の緩和後)、名称は「オフライン枠」をそのまま使用することとした。
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